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〘674㌻〙

第1章

1 アハブの死しにしのちモアブ、イスラエルにそむけり 2 アハジヤ、サマリヤにあるその樓たかどのの欄杆らんかんよりおちて病やまひをおこせしかば使󠄃つかひを遣󠄃つかはさんとして之これにいひけるは往󠄃ゆきてエクロンの神かみバアルゼブブにわがこの病やまひの愈󠄃いゆるや否いなやを問とふべしと 3 時ときにヱホバの使󠄃つかひテシベ人びとエリヤにいひけるは起󠄃たちてサマリヤ王わうの使󠄃つかひにあひて之これに言いふべし汝等なんぢらがエクロンの神かみバアルゼブブに問とはんとてゆくはイスラエルに神かみなきがゆゑなるか 4 是これによりてヱホバかくいふ汝なんぢはその登のぼりし牀とこより下くだることなかるべし汝なんぢかならず死しなんとエリヤ乃すなはち往󠄃ゆけり

5 使󠄃者つかひたちアハジアに返󠄄かへりければアハジア彼等かれらに何故なにゆゑに返󠄄かへりしやといふに 6 かれら之これにいひけるは一箇ひとりの人ひと上のぼりきたりて我われらに會あひわれらにいひけるは往󠄃ゆきてなんぢらを遣󠄃つかはせし王わうの所󠄃もとにかへり之これにいふべしヱホバ斯かくいひたまふなんぢエクロンの神かみバアルゼブブに問とはんとて人ひとを遣󠄃つかはすはイスラエルに神かみなきがゆゑなるか然されば汝なんぢその登のぼりし牀とこより下くだることなかるべし汝なんぢかならず死しなんと 7 アハジア彼等かれらにいひけるはそののぼりきたりて汝等なんぢらに會あひ此これ等らの言ことばを汝なんぢらに吿つげたる人ひとの形狀かたちは如何いかなりしや 8 かれら對こたへていひけるはそれは毛け深ぶかき人ひとにして腰󠄃こしに革かはの帶おびをむすび居ゐたり彼かれいひけるはその人ひとはテシベ人びとエリヤなりと

9 是こゝに於おいて王わう五十人にんの長かしらとその五十人にんをエリヤの所󠄃ところに遣󠄃つかはせり彼かれエリヤの所󠄃ところに上のぼりゆくに視みよエリヤは山やまの嶺いただきに坐ざし居ゐたりかれエリヤにいひけるは神かみの人ひとよ王わういひたまふ下くだるべし 10 エリヤこたへて五十人にんの長かしらにいひけるはわれもし神かみの人ひとたらば火ひ天てんより降󠄄くだりて汝なんぢと汝なんぢの五十人にんとを燒やき盡つくすべしと火ひすなはち天てんより降󠄄くだりて彼かれとその五十人にんとを燒やき盡つくせり
 674㌻ 
11 アハジアまた他ほかの五十人にんの長かしらとその五十人にんをエリヤに遣󠄃つかはせりかれ上のぼりてエリヤにいひけるは神かみの人ひとよ王わうかく言いひたまふ速󠄃すみやかに下くだるべし 12 エリヤ答こたへて彼かれにいひけるはわれもし神かみの人ひとたらば火ひ天てんより降󠄄くだりて爾なんぢとなんぢの五十人にんを燒やき盡つくすべしと神かみの火ひすなはち天てんより降󠄄くだりてかれとその五十人にんを燒やき盡つくせり 13 かれまた第だい三の五十人にんの長かしらとその五十人にんを遣󠄃つかはせり第だい三の五十人にんの長かしらのぼりいたりてエリヤのまへに跪ひざまづきこれに願ねがひていひけるは神かみの人ひとよ願ねがはくはわが生命いのちとなんぢの僕しもべなるこの五十人にんの生命いのちをなんぢの目めに貴重たふとき者ものと見みなしたまへ〘518㌻〙 14 視みよ火ひ天てんより降󠄄くだりて前󠄃まへの五十人にんの長かしら二人ふたりとその五十人にんを燒やき盡つくせり然されどわが生命いのちをば汝なんぢの目めに貴重たふとき者ものとなしたまへ 15 時ときにヱホバの使󠄃つかひエリヤに云いひけるはかれとともに下くだれかれをおそるることなかれとエリヤすなはち起󠄃たちてかれとともに下くだり王わうの許もとに至いたり 16 之これにいひけるはヱホバかくいひたまふ汝なんぢエクロンの神かみバアルゼブブに問とはんとて使󠄃者つかひを遣󠄃おくるはイスラエルにその言ことばを問とふべき神かみなきがゆゑなるか是これによりて汝なんぢはその登のぼし牀とこより下くだることなかるべし汝なんぢかならず死しなんと

17 彼かれエリヤの言いひたるヱホバの言ことばの如ごとく死しにけるが彼かれに子こなかりしかばヨラムこれに代かはりて王わうとなれり是これはユダの王わうヨシヤパテの子こヨラムの二年ねんにあたる 18 アハジヤのなしたる其その餘ほかの事業わざはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記載しるさるるにあらずや

第2章

1 ヱホバ大風おほかぜをもてエリヤを天てんに昇のぼらしめんとしたまふ時ときエリヤはエリシヤとともにギルガルより出いで往󠄃ゆけり 2 エリヤ、エリシヤにいひけるは請󠄃こふここに止とゞまれヱホバわれをベテルに遣󠄃つかはしたまふなりとエリシヤいひけるはヱホバは活いく汝なんぢの靈魂たましひは活いく我われなんぢをはなれじと彼等かれらつひにベテルに下くだれり 3 ベテルに在ある預言者よげんしやの徒ともがらエリシヤの許もとに出いできたりて之これにいひけるはヱホバの今日けふなんぢの主しゆをなんぢの首かしらの上うへよりとらんとしたまふを汝なんぢ知しるやかれいふ然しかりわれ知しれり汝等なんぢら默もくすべし
 675㌻ 
4 エリヤかれにいひけるはエリシヤよ請󠄃こふ汝なんぢここに止とゞまれヱホバわれをヱリコに遣󠄃つかはしたまふなりとエリシヤいふヱホバは活いくなんぢの靈魂たましひは活いく我われなんぢを離はなれじとかれらヱリコにいたる 5 ヱリコに在ある預言よげん者しやの徒ともがらエリシヤに詣いたりて彼かれにいひけるはヱホバの今日けふなんぢの主しゆをなんぢの首かしらの上うへよりとらんとしたまふを汝なんぢ知しるやエリシヤ言いふ然しかり知しれり汝なんぢら默もくすべしと 6 エリヤまたかれにいひけるは請󠄃こふここに止とゞまれヱホバわれをヨルダンにつかはしたまふなりとかれいふヱホバは活いくなんぢの靈魂たましひは活いくわれ汝なんぢをはなれじと二人ふたり進󠄃すすみゆくに 7 預言者よげんしやの徒ともがら五十人にんゆきて遙はるかに立たちて望󠄇のぞめり彼かれら二人ふたりはヨルダンの濱ほとりに立たちけるが 8 エリヤその外套うはぎをとりて之これを卷まき水みづをうちけるに此旁こなたと彼旁かなたにわかれたれば二人ふたりは乾かわける土つちの上うへをわたれり 9 渉わたりける時ときエリヤ、エリシヤにいひけるは我わが取とられてなんぢを離はなるる前󠄃まへに汝なんぢわが汝なんぢになすべきことを求もとめよエリシヤいひけるはなんぢの靈みたまの二ふたつの分󠄃ぶんの我われにをらんことを願ねがふ 10 エリヤいひけるは汝なんぢ難かたき事ことを求もとむ汝なんぢもしわが取とられてなんぢを離はなるるを見みばこの事ことなんぢにならんしからずば此事このことなんぢにならじ〘519㌻〙 11 彼かれら進󠄃すゝみながら語かたれる時とき火ひの車くるまと火ひの馬むまあらはれて二人ふたりを隔󠄃へだりてたりエリヤは大風おほかぜにのりて天てんに昇のぼれり 12 エリシヤ見みてわが父󠄃ちゝわが父󠄃ちゝイスラエルの兵へい車しやよその騎兵きへいよと叫さけびしが   再ふたゝびかれを見みざりき是こゝにおいてエリシヤその衣ころもをとらへて之これを二ふた片きれに裂さき

13 エリヤの身みよりおちたるその外套うはぎをとりあげ返󠄄かへりてヨルダンの岸きしに立たち 14 エリヤの身みよりおちたる外套うはぎをとりて水みづをうちエリヤの神かみヱホバはいづくにいますやと言いひ而しかして己おのれも水みづをうちけるに水みづ此旁こなたと彼旁かなたに分󠄃わかれたればエリシヤすなはち渡わたれり

15 ヱリコにある預言者よげんしやの徒ともがら對岸むかひにありて彼かれを見みて言いひけるはエリヤの靈れいエリシヤの上うへにとゞまるとかれら來きたりてかれを迎󠄃むかへその前󠄃まへに地ちに伏ふして
 676㌻ 
16 かれにいひけるは僕しもべ等らに勇󠄃力ちからある者もの五十人にんあり請󠄃こふかれらをして往󠄃ゆきてなんぢの主しゆを尋󠄃たづねしめよ恐おそらくはヱホバの靈みたまかれを曳ひきあげてこれを或ある山やまか或ある谷たにに放はなちしならんとエリシヤ遣󠄃つかはすなかれと言いひけれども 17 かれら彼かれの愧はづるまでに强しひければすなはち遣󠄃つかはせといへり是こゝに於おいてかれら五十人にんの者ものを遣󠄃つかはしけるが三日みつかの間あひだたづねたれども彼かれを看みいださざりしかば 18 エリシヤの尙なほヱリコに止とゞまれる時ときかれら返󠄄かへしりてかれの許もとにいたりしにエリシヤかれらに言いひけるはわれ往󠄃ゆくことなかれと汝なんぢらにいひしにあらずやと

19 邑まちの人々ひと〴〵エリシヤにいひけるは視みよ吾わが主しゆの見みたまふごとく此この邑まちの建󠄄たてる處ところは善よしされど水みづあしくしてこの地ち流りう產ざんをおこす 20 かれ言いひけるは新あたらしき皿さらに鹽しほを盛󠄃もりて我われに持もち來きたれよと乃すなはちもちきたりければ 21 彼かれいでて水みづの源みなもとに至いたり鹽しほを其處そこになげ入いれていひけるはヱホバかくいひたまふわれこの水みづを愈󠄃いやす此處こゝよりして重かさねて死しあるひは流りう產ざんおこらじと 22 其その水みづすなはちエリシヤのいひし如ごとくに愈󠄃いえて今日こんにちにいたる

23 かれそこよりベテルに上のぼりしが上のぼりて途󠄃みちにありけるとき小童こわらべ等ども邑まちよりいでて彼かれを嘲󠄂あざけり彼かれにむかひて禿首はげあたまよのぼれ禿首はげあたまよのぼれといひければ 24 かれ回轉ふりかへりてかれらをみヱホバの名なをもてかれらを呪詛のろひければ林はやしの中うちより二頭ふたつの牝め熊ぐま出いでてその兒子こども輩らの中うち四十二人にんをさきたり 25 かれ彼處かしこよりカルメル山やまにゆき其處そこよりサマリヤにかへれり

第3章

1 ユダの王わうヨシヤパテの十八年ねんにアハブの子こヨラム、サマリヤにありてイスラエルを治をさめ十二年ねん位くらゐにありき〘520㌻〙 2 かれはヱホバの目めのまへに惡あくをなせしかどもその父󠄃母ちちははの如ごとくはあらざりきそは彼かれその父󠄃ちゝの造󠄃つくりしバアルの像󠄃ざうを除のぞきたればなり 3 されど彼かれはかのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみを行おこなひつづけて之これをはなれざりき
 677㌻ 

4 モアブの王わうメシヤは羊ひつじを有󠄃もつ者ものにして十萬まんの羔こひつじと十萬まんの牡羊をひつじの毛けとをイスラエルの王わうに納󠄃をさめをりしが 5 アハブの死しにしのちモアブの王わうはイスラエルの王わうにそむけり 6 是こゝに於おいてヨラム王わう其時そのときサマリヤを出いでてイスラエル人びとをことごとく集あつめ 7 また往󠄃ゆきて人ひとをユダの王わうヨシヤパテに遣󠄃つかはしていはしむモアブの王わうわれに背そむけり汝なんぢわれとともにモアブに攻せめゆくやと彼かれいひけるは我われ上のぼらん我われは汝なんぢの如ごとくわが民たみはなんぢの民たみのごとくまたわが馬むまは汝なんぢの馬むまの如ごとしと 8 ヨラムいひけるは我儕われらいづれの路みちより上のぼらんかかれいふエドムの曠野あらのの途󠄃みちよりせんと 9 イスラエルの王わうすなはちユダの王わうおよびエドムの王わうと共ともに出いでゆきけるが行ゆきめぐること七日路なぬかぢにして軍勢ぐんぜいとこれにしたがふ家畜けものの飮のむべき水みづなかりしかば 10 イスラエルの王わういひけるは嗚呼あゝヱホバこの三人にんの王わうをモアブの手てにわたさんと召めし集あつめたまへりと 11 ヨシヤバテいひけるは我儕われらが由よりてヱホバに問とふべきヱホバの預言者よげんしや此こゝにあらざるやとイスラエルの王わうの臣僕けらいの一人ひとり答こたへていふエリヤの手てに水みづをそそぎたるシヤパテの子こエリシヤ此こゝにあり 12 ヨシヤパテいひけるはヱホバの言ことば彼かれにありとかくてイスラエルの王わうおよびヨシヤパテとエドムの王わうかれの許もとに下くだりゆきけるに

13 エリシヤ、イスラエルの王わうに言いひけるはわれ汝なんぢと何なにの干與かかはりあらんや汝なんぢの父󠄃ちゝの預言者よげんしやと汝なんぢの母はゝの預言者よげんしやの所󠄃ところにゆくべしとイスラエルの王わうかれにいひけるは然しからずそはヱホバこの三人にんの王わうをモアブの手てに付わたさんとて召集よびあつめたまへばなり 14 エリシヤ言いひけるはわが事つかふる萬軍ばんぐんのヱホバは活いく我われユダの王わうヨシヤパテのためにするにあらすばかならず汝なんぢを顧󠄃かへりみず汝なんぢを見みざらんものを 15 今いま樂がく人じんをわれにつれ來きたれと而しかして樂がく人じんの樂がくをなすにおよびてヱホバの手てかれに臨のぞみて 16 彼かれいひけるはヱホバかくいひたまふ此この谷たにに許多あまたの溝󠄃ほりを設まうけよ 17 それヱホバかく言いひたまふ汝なんぢら風かぜを見みず雨あめをも見みざるに此この谷たにに水みづ盈みちて汝等なんぢらと汝等なんぢらの家畜かちくおよび汝なんぢらの獸けもの飮のむことを得えん
 678㌻ 
18 然しかるも是これはヱホバの目めには瑣細ちひさき事ことなりヱホバ、モアブ人びとをも汝なんぢらの手てにわたしたまはん 19 汝等なんぢらは保障かためある諸すべての邑まちと諸すべての美うるはしき邑まちとを擊うち諸すべての佳よき樹きを斫きり倒たふし諸すべての水みづの井ゐどを塞ふさぎ石いしをもて諸すべての善よき地ちを壞そこなふにいたらん〘521㌻〙 20 かくて朝󠄃あしたにおよびて供物そなへものを献さゝぐる時ときに水みづエドムの途󠄃みちより流ながれきたりて水みづ國くにに充みつ

21 偖さてまたモアブ人びとはみな王等わうたちの己おのれに攻せめのぼれるを聞きゝしかば甲よろひを著きることを得うる以上いじやうの者ものを盡こと〴〵く集あつめてその境さかひに備そなへしが 22 朝󠄃あさはやく興おきいでしに水みづの上うへに日ひ昇のぼりゐて對面むかひの水みづ血ちの如ごとくに赤あかかりければモアブ人びとこれを見みて 23 いひけるはこれ乃すなはち血ちなり王わうたち戰たゝかひて死しにたるならん互たがひに相あひ擊うちたるなるべし然さればモアブよ掠取ぶんどりに行ゆけと 24 而しかしてモアブ人びとイスラエルの陣ぢん營えいに至いたるにイスラエル人びと起󠄃たちてこれを擊うちたればすなはちその前󠄃まへより逃󠄄にげはしれり是こゝにおいてイスラエル人びと進󠄃すゝみてモアブ人びとを擊うちてその國くににいり 25 その邑々まち〳〵を擊うち圮くづし各おの〳〵石いしを諸すべての善よき地ちに投なげてこれに塡みたし水みづの井ゐどをことごとく塞ふさぎ佳よき樹きをことごとく斫きりたふし唯たゞキルハラセテにその石いしをのこせしのみなるに至いたる但たゞし石いしを投なぐるもの周󠄃めぐりあるきてこれを擊うてり 26 モアブ王わう戰鬪たたかひの手ていたくして當あたりがたきを見みて劍つるぎを拔ぬく者もの七百ひやく人にんをひきゐてエドム王わうの所󠄃ところにまで衝つきいたらんとせしが遂󠄅つひに果はたさざりしかば 27 己おのれの位くらゐを繼つぐべきその長子ちやうしをとりてこれを石垣いしがきの上うへにささげて燔祭はんさいとなしたり是こゝに於おいてイスラエルに大おほいなる憤怒いきどほりおこりぬ彼等かれらすなはちかれをすててその國くにに歸かへれり

第4章

1 預言よげん者しゃの徒ともがらの妻つまの中うちなる一人ひとりの婦󠄃人をんなエリシヤに呼よばはりていひけるは汝なんぢの僕しもべなるわが夫をつと死しねりなんぢの僕しもべのヱホバを畏おそれしことはなんぢの知しるところなり今いま債主さいしゆきたりてわが二人ふたりの子こをとりて奴僕しもべとなさんとすと 2 エリシヤ之これにいひけるはわれなんぢの爲ために何なにをなすべきや汝なんぢの家いへに如何いかなる物ものあるかわれに吿つげよ彼かれいひけるは僅少わづかの油あぶらのほかは汝なんぢの婢しもめの家いへに有󠄃あるものなし
 679㌻ 
3 彼かれいひけるは往󠄃ゆきて外ほかより鄰󠄄となりの人々ひと〴〵より器うつはを借かりよ空󠄃あきたる器うつはを借かるべし少許わずかばかりを借かりるなかれ 4 而しかしてなんぢ入いりて汝なんぢの子等こらとともに戶との內うちに閉とぢこもりそのすべての器うつはに油あぶらをつぎてその盈みてるところの者ものをとりのけおくべし 5 婦󠄃人をんなすなはち彼かれを離はなれて去さりその子等こらとともに戶との內うちに閉とぢこもり子等こらのもちきたる器うつはに油あぶらをつぎたりしが 6 器うつはのみな盈みちたるときその子こにむかひ尙なほわれに器うつはをもちきたれといひけるに器うつははもはやあらずといひたればその油あぶらすなはち止とゞまる 7 是こゝにおいてその婦󠄃をんな神かみの人ひとにいたりてかくと吿つげければかれいふ往󠄃ゆきて油あぶらをうりてその負󠄅債おひめをつくのひその餘分󠄃あまりをもて汝なんぢと汝なんぢの子等こら生計くらしをなすべしと〘522㌻〙

8 一日あるひエリシヤ、シユネムにゆきしに其所󠄃そこに一人ひとりの大おほいなる婦󠄃人をんなありてしきりにこれに食󠄃しよくをすすめたれば彼かれかしこを過󠄃すぐる每ごとにそこに入いりて食󠄃しよくをなせり 9 茲こゝにその婦󠄃人をんな夫をつとにいひけるは視みよ此このつねにわれらを過󠄃よぎる人ひとは我われこれを見みるに神かみの聖󠄃きよき人ひとなり 10 請󠄃こふ小ちひさき室しつを石垣いしがきの上うへにつくりそこに臥床ねどこと案つくゑと榻こしかけと燭臺しよくだいをかれのために備そなへん彼かれわれらに至いたる時ときはそこに入いるべしと 11 かくてのちある日ひエリシヤそこに至いたりその室しつに入いりてそこに臥ふしたりしが 12 その僕しもべゲハジにむかひ彼かれのシユナミ人びとを召よびきたれといへり彼かれかの婦󠄃人をんなを召よびたればその前󠄃まへにきたりて立たつに 13 エリシヤ、ゲハジにいひけるは彼かれにかく言いへ汝なんぢかく懇ねんごろに我われらのために意こゝろを用もちふ汝なんぢのために何なにをなすべきや王わうまたは軍勢ぐんぜいの長かしらに汝なんぢのことを吿つげられんことを望󠄇のぞむかと彼かれ答こたへてわれはわが民たみの中うちにをるなりといふ 14 エリシヤいひけるは然さらばかれのために何なにをなすべきやゲハジ答こたへけるは誠󠄃まことにかれは子こなくその夫をつとは老おいたりと 15 是こゝにおいてエリシヤかれを召よべといひければこれを呼よぶに來きたりて戶口とぐちに立たちたれば 16 エリシヤいふ明あくる年としの今いま頃ごろ汝なんぢ子こを抱󠄃いだくあらん彼かれいひけるはいなわが主しゆ神かみの人ひとよなんぢの婢しもめをあざむきたまふなかれと
 680㌻ 

17 かくて婦󠄃をんなつひに孕はらみて明あくる年としにいたりてエリシヤのいへるその頃ころに子こを生うめり 18 その子こ育そだちてある日ひ刈かり獲いれ人びとの所󠄃ところにいでゆきてその父󠄃ちゝにいたりしが 19 父󠄃ちゝにわが首かうべわが首かうべといひたれば父󠄃ちゝ少者わかものに彼かれを母はゝのもとに負󠄅おひゆけと言いへり 20 すなはちこれを負󠄅おひて母はゝにいたりしに午ひるまで母はゝの膝ひざに坐すわり居ゐて遂󠄅つひに死しにたれば 21 母はゝのぼりゆきてこれを神かみの人ひとの臥床ねどこの上うへに置おきこれをとぢこめて出いで 22 その夫をつとをよびていひけるは請󠄃こふ一人ひとりの僕しもべと一頭ひとつの驢馬ろばを我われにつかはせ我われ神かみの人ひとの許もとにはせゆきて歸かへらんと 23 夫をつといふ何故なにゆゑに汝なんぢは今日けふかれにいたらんとするや今日けふは朔日ついたちにもあらず安息日あんそくにちにもあらざるなり彼かれいひけるは宜よしと 24 婦󠄃をんなすなはち驢馬ろばに鞍くらおきてその僕しもべにいひけるは驅かりて進󠄃すゝめ吾わが命めいずることなくば我わが騎のりすすむることに緩󠄃漫たゆみあらしめざれと 25 つひにカルメル山やまにゆきて神かみの人ひとにいたるに   神かみの人ひと遙はるかにかれの來きたるを見みて僕しもべゲハジにいひけるは視みよかしこにかのシユナミ人びとをる

26 請󠄃こふ汝なんぢはしりゆきて彼かれをむかへて言いへなんぢは平󠄃安やすらかなるやなんぢの夫をつとはやすらかなるやなんぢの子こはやすらかなるやと彼かれこたへて平󠄃安やすらかなりといひ 27 遂󠄅つひに山やまにきたりて神かみの人ひとにいたりその足あしを抱󠄃いだきたればゲハジこれを逐󠄃おひはらはんとて近󠄃ちかよりしに神かみの人ひといひけるは容ゆるしおけ彼かれは心こゝろの中うちに苦くるしみあるなりまたヱホバその事ことを我われにかくしていまだわれに吿つげたまはざるなり〘523㌻〙 28 婦󠄃をんないひけるはわれわが主しゆに子こを求もとめしやわれをあざむきたまふなかれとわれは言いはざりしや 29 エリシヤすなはちゲハジにいひけるはなんぢ腰󠄃こしをひきからげわが杖つゑを手てにもちて行ゆけ誰たれに逢あふも禮れいをなすべからず又󠄂またなんぢに禮れいをなす者ものあるともそれに答こたふることなかれわが杖つゑをかの子この面かほの上うへにおけよと 30 その子この母はゝいひけるはヱホバは活いくなんぢの靈魂たましひは生いく我われは汝なんぢを離はなれじと是こゝをもてエリシヤついに起󠄃たちて婦󠄃をんなに從したがひ行ゆきぬ 31 ゲハジはかれらに先さきだちゆきて杖つゑをかの子この面かほの上うへに置おきたるが聲こゑもなく聞きゝもせざりしかばかへりきたりてエリシヤに逢あひてこれに子こいまだ目めをさまさずと言いふ
 681㌻ 

32 エリシヤここにおいて家いへに入いりて視みるに子こは死しにておのれの臥床ねどこの上うへに臥ふしてあれば 33 すなはち入いり戶とをとぢて二人ふたり內うちにおりてヱホバに祈いのり 34 而しかしてエリシヤ上のぼりて子この上うへに伏ふしし己おのが口くちをその口くちにおのが目めをその目めに己おのが手てをその手ての上うへにあて身みをもてその子こを掩おほひしに子この身體からだやうやく溫あたたまり來きたる 35 かくしてエリシヤかへり來きて家いへの內うちに其處そこ此處こゝとあゆみをり又󠄂またのぼりて身みをもて子こをおほひしに子こ七度ななたび嚏くさめして目めをひらきしかば 36 ゲハジを呼よびてかのシユナミ人びとをよべと言いひければすなはちこれを呼よべり 37 彼かれ入いり來きたりしかばエリシヤなんぢの子こを取とりゆけと言いへりかれすなはち入いりてエリシヤの足下あしもとに伏ふし地ちに身みをかがめて其その子こを取とりあげて出いづ

38 斯かくてエリシヤまたギルガルにいたりしがその地ちに饑󠄃饉ききんあり預言者よげんしやの徒ともがらその前󠄃まへに坐ざしをる是こゝにおいて彼かれその僕しもべにいひけるは大おほいなる釜󠄃かまをすゑて預言者よげんしやの徒ともがらのために羮󠄃あつものを煮によと 39 時ときに一人ひとり田野はたけにゆきて菜󠄄蔬あをものを摘つみしが野籐のかづらのあるを見みて其それより野の瓜うりを一ひと風呂鋪ふろしき摘つみきたりて羮󠄃あつものの釜󠄃かまの中うちに截きりこみたり其そは皆みなそれをしらざればなり 40 斯かくてこれを盛󠄃もりて人々ひと〴〵に食󠄃くらはせんとせしに彼等かれらその羮󠄃あつものを食󠄃くらはんとするにあたりて叫さけびて嗚呼あゝ神かみの人ひとよ釜󠄃かまの中うちに死しをきたらする者ものありといひて得え食󠄃くらはざりしかば 41 エリシヤさらば粉󠄃こなをもちきたれといひてこれを釜󠄃かまになげ入いれ盛󠄃もりて人々ひと〴〵に食󠄃くはしめよと言いへり釜󠄃かまの中うちにはすなはち害󠄅がい物ぶつあらずなりぬ

42 茲こゝにバアルシヤリシヤより人ひと來きたり初はつ穗ほのパンと大おほ麥むぎのパン二十と圃はたけの初はつ物もの一ひと袋ふくろとを神かみの人ひとの許もとにもちいたりたればエリシヤ衆人ひと〴〵にあたへて食󠄃くらはしめよと言いふに〘524㌻〙 43 その奴僕めしつかひいひけるは如何いかにとや我われこれを百ひやく人にんの前󠄃まへにそなふべきかと然しかるに彼かれまた言いふ衆人ひと〴〵にあたへて食󠄃くはしめよ夫それヱホバかくいひたまふかれら食󠄃くらふて尙なほあます所󠄃ところあらんと 44 すなはち之これをその前󠄃まへにそなへたればみな食󠄃くらふてなほ餘あませりヱホバの言ことばのごとし
 682㌻ 

第5章

1 スリア王わうの軍勢ぐんぜいの長かしらナアマンはその主しゆ君くんのまへにありて大おほいなる者ものにしてまた貴たふとき者ものなりき是こはヱホバ曾かつて彼かれをもてスリアに拯救すくひをほどこしたまひしが故ゆゑなり彼かれは大勇󠄃士だいゆうしなりしが癩らい病びやうをわづらひ居をる 2 昔さきにスリア人びと隊󠄄たいを組くみていでたりし時ときにイスラエルの地ちより一人ひとりの小女こむすめを執とらへゆけり彼かれナアマンの妻つまに事つかへたりしが 3 その女主によしゆにむかひわが主しゆサマリヤに居をる預言者よげんしやの前󠄃まへにいまさば善よからん者ものをかれその癩らい病びやうを痊いやすならんと言いひたれば 4 ナアマン入いりてその主しゆ君くんに吿つげてイスラエルの地ちよりきたれる女子むすめ斯々しか〴〵語ものがたりたりと言いふに 5 スリヤ王わういひけるは往󠄃ゆけよ往󠄃ゆけよ我われイスラエルの王わうに書ふみをおくるべしと是こゝにおいて彼かれいでゆき銀ぎん十タラントと金きん六千せんおよび衣服󠄃ころも十襲󠄂とかさねをたづさヘ 6 イスラエルの王わうにその書ふみをもちゆけりその文󠄃ぶんに曰いはくこの書ふみ汝なんぢにいたらば視みよ我われわが臣しんナアマンをなんぢに遣󠄃つかはせるなりこは汝なんぢにその癩らい病びやうを痊いやされんがためなり 7 イスラエルの王わうその書ふみを讀よみ衣ころもを裂さきていふ我わが神かみならんや爭いかでか殺ころすことをなし生いかすことをなしえん然しかるに此人このひとなんぞ癩らい病びやうの人ひとを我われに遣󠄃つかはしてこれを痊いやさしめんとするや然されば請󠄃こふ汝等なんぢら彼かれが如何いかに我われに爭あらそひを求もとむるかを見みて知しれと

8 茲こゝに神かみの人ひとエリシヤ、イスラエルの王わうがその衣ころもを裂さきたることをきき王わうに言遣󠄃いひつかはしけるは汝なんぢ何なにとて汝なんぢの衣ころもをさきしや彼かれをわがもとにいたらしめよ然さらば彼かれイスラエルに預言者よげんしやのあることを知しるにいたるべし 9 是こゝにおいてナアマンその馬むまと車くるまとをしたがへ來きたりてエリシヤの家いへの門かどに立たちけるに 10 エリシヤ使󠄃つかひをこれに遣󠄃つかはして言いふ汝なんぢゆきて身みをヨルダンに七なゝたび洗あらへ然さらば汝なんぢの肉󠄁にく本もとにかへりて汝なんぢは淸きよく爲なるべしと 11 ナアマン怒いかりて去さり言いひけるは我われは彼かれかならず我わがもとにいできたりて立たちその神かみヱホバの名なを呼よびてその所󠄃ところの上うへに手てを動うごかして癩らい病びやうを痊いやすならんと思おもへり 12 ダマスコの河かはアバナとパルパルはイスラエルのすべての河かは水みづにまさるにあらずや我われこれらに身みを洗あらふて淸きよまることを得えざらんやと乃すなはち身みをめぐらし怒いかりて去さる
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13 時ときにその僕しもべ等ら近󠄃ちかよりてこれにいひけるは我わが父󠄃ちゝよ預言者よげんしやなんぢに大おほいなる事ことをなせと命めいずるとも汝なんぢはそれを爲なさざらんや况まして彼かれなんぢに身みを洗あらひて淸きよくなれといふをやと〘525㌻〙 14 是こゝにおいてナアマン下くだりゆきて神かみの人ひとの言ことばのごとくに七なゝたびヨルダンに身みを洗あらひしにその肉󠄁にく本もとにかへり嬰兒をさなごの肉󠄁にくの如ごとくになりて淸きよくなりぬ

15 かれすなはちその從者じふしやとともに神かみの人ひとの許もとにかへりきたりてその前󠄃まへに立たちていふ我われいまイスラエルのほかは全󠄃ぜん地ちに神かみなしと知しる然されば請󠄃こふ僕しもべより禮物れいもつをうけよ 16 エリシヤいひけるはわが事つかへまつるヱホバは活いく肯あへて禮物れいもつをうけじとかれ强しひて之これを受うけしめんとしたれども遂󠄅つひにこれを辭じしたり 17 ナアマンいひけるは然されば請󠄃こふ騾うさぎ馬むまに二に駄だの土つちを僕しもべにとらせよ僕しもべは今いまよりのち他ほかの神かみには燔祭はんさいをも祭品そなへものをもささげずして只たゞヱホバにのみ献さゝげんとす 18 ねがはくは主しゆこの事ことにつきて僕しもべをゆるしたまへ即すなはちわが主しゆ君くんリンモンの宮みやにいりそこにて崇拜をがみをなしてわが手てに倚よることありまた我われリンモンの宮みやにありて身みをかがむることあらんわがリンモンの宮みやにおいて身みをかがむる時ときに願ねがはくはヱホバその事ことにつきて僕しもべをゆるしたまへと 19 エリシヤ彼かれになんぢ安やすんじて去されといひければ彼かれエリシヤをはなれて少すこしく進󠄃すゝみゆきけるに

20 神かみの人ひとエリシヤの僕しもべゲハジいいひけるは吾わが主人あるじは此このスリア人びとナアマンをいたはりて彼かれが手てに携たづさへきたれるものを受うけざりしがヱホバは活いくわれ彼かれのあとを追󠄃おひかけて彼かれより少すこしく物ものをとらんと 21 ゲハジすなはちナアマンのあとをおひ行ゆくにナアマンはおのれのあとに走はしり來くる者ものあるを見みて車くるまより下おりこれを迎󠄃むかへて皆みな平󠄃安やすきやと言いふに 22 彼かれ言いひけるは皆みな平󠄃安やすしわが主しゆ我われを遣󠄃つかはしていはしむ只たゞ今いまエフライムの山やまより預言者よげんしやの徒ともがらなる二人ふたりの少者わかうどわが許もとに來きたれり請󠄃こふ汝なんぢかれらに銀ぎん一タラントと衣ころも二ふた襲󠄂かさねをあたへよと
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23 ナアマンいひけるは望󠄇のぞむらくは二タラントを取とれとてかれを强しひ銀ぎん二タラントを二ふたつの袋ふくろにいれ衣ころも二ふた襲󠄂かさねを添そへて二人ふたりの僕しもべに負󠄅おはせたれば彼等かれらこれをゲハジの前󠄃まへに負󠄅おひきたりしが 24 彼かれ岡をかに至いたりしとき之これをかれらの手てより取とりて室いへのうちにをさめかれらを放はなちて去さらしめ 25 而しかして入いりてその主人しゆじんのまへに立たつにエリシヤこれにいひけるはゲハジよ何處いづくより來きたりしや答こたへていふ僕しもべは何處いづくにもゆかず 26 エリシヤいひけるはその人ひとが車くるまをはなれ來きたりてなんぢを迎󠄃むかへし時ときにわが心こゝろ其處そこにあらざりしや今いまは金かねをうけ衣ころもをうけ橄欖かんらん園ばたけ葡萄園ぶだうばたけ羊ひつじ牛うし僕しもべ婢しもめをうくべき時ときならんや 27 然さればナアマンの癩らい病びやうはなんぢにつき汝なんぢの子孫しそんにおよびて限かぎりなからんと彼かれその前󠄃まへより退󠄃しりぞくに癩らい病びやう發はつして雪󠄃ゆきのごとくになりぬ〘526㌻〙

第6章

1 茲こゝに預言者よげんしやの徒ともがらエリシヤに言いひけるは視みよ我儕われらが汝なんぢとともに住󠄃すまふ所󠄃ところはわれらのために隘󠄆せまし 2 請󠄃こふ我儕われらをしてヨルダンに往󠄃ゆかしめよ我儕われらおのおの彼處かしこより一ひとつの材木ざいもくを取とりて其處そこに我儕われらの住󠄃すむべき處ところを設まうけんエリシヤ往󠄃ゆけよと言いふ 3 時ときにその一人ひとり希こひねがはくは汝なんぢも僕しもべ等らと共ともに往󠄃ゆけと言いひければエリシヤ答こたへて我われゆかんと言いふ 4 エリシヤかく彼等かれらとともに往󠄃ゆけり彼等かれらすなはちヨルダンにいたりて樹きを砍きりたふしけるが 5 一人ひとりの材木ざいもくを砍きりたふすに方あたりてその斧をの水みづにおちいりしかば叫さけびて嗚呼あゝ主しゆよ是これは乞こひ得えたる者ものなりと言いふ 6 神かみの人ひと其それは何處いづくにおちいりしやと言いふにその處ところをしらせしかば則すなはち枝えだを切きりおとして其處そこに投なげいれてその斧をのを浮󠄃うかましめ 7 汝なんぢこれを取とれと言いひければその人ひと手てを伸のべてこれを取とれり

8 茲こゝにスリアの王わうイスラエルと戰たゝかひをりその臣僕けらいと評󠄃ひやう議ぎして斯々しか〴〵の處ところに我われ陣ぢんを張はらんと言いひたれば 9 神かみの人ひとイスラエルの王わうに言いひおくりけるは汝なんぢ愼つゝしんで某それの處ところを過󠄃すぐるなかれ其そはスリア人びと其處そこに下くだればなりと 10 イスラエルの王わう是こゝにおいて神かみの人ひとが己おのれに吿つげ己おのれに敎をしへたる處ところに人ひとを遣󠄃つかはして其處そこに自みづから防ふせぎしこと一いち二に回かいに止とゞまらざりき
 685㌻ 
11 是こゝをもてスリアの王わう是この事ことのために心こゝろをなやましその臣僕けらいを召めして我儕われらの中うち誰たがイスラエルの王わうと通󠄃つうじをるかを我われに吿つげざるやと言いふに 12 その臣僕けらいの一人ひとり言いふ王わうわが主しゆよ然しかるにあらず但たゞイスラエルの預言者よげんしやエリシヤ汝なんぢが寢室ねやにて語かたる所󠄃ところの言語ことばをもイスラエルの王わうに吿つぐるなり 13 王わういひけるは往󠄃ゆきて彼かれが安いづくに居をるかを見みよ我われ人ひとをやりてこれを執とらへんと茲こゝに彼かれはドタンに居をると王わうに吿つげていふ者ものありければ

14 王わうそこに馬むまと車くるまおよび大軍たいぐんをつかはせり彼等かれらすなはち夜よの中うちに來きたりてその邑まちを取とりかこみけるが 15 神かみの人ひとの從屬めしつかひ夙つとに興おきて出いでて見みるに軍勢ぐんぜい馬むまと車くるまをもて邑まちを取とりかこみ居をればその少者わかものエリシヤに言いひけるは嗚呼あゝわが主しゆよ我儕われら如何いかにすべきや 16 エリシヤ答こたへけるは懼おそるるなかれ我儕われらとともにある者ものは彼等かれらとともにある者ものよりも多おほしと 17 ヱリシヤ祈いのりて願ねがはくはヱホバかれの目めを開ひらきて見みさせたまへと言いひければヱホバその少者わかものの眼めを開ひらきたまへり彼かれすなはち見みるに火ひの馬むまと火ひの車くるま山やまに盈みちてエリシヤの四面まはりに在あり 18 スリア人びとエリシヤの所󠄃ところに下くだりいたれる時ときエリシヤ、ヱホバに祈いのりて言いふ願ねがはくは此この人々ひと〴〵をして目め昏くらましめたまへと即すなはちエリシヤの言ことばのごとくにその目めを昏くらましめたまへり〘527㌻〙 19 是こゝにおいてエリシヤ彼かれらに言いひけるは是これはその途󠄃みちにあらず是これはその城󠄃しろにもあらず我われに從したがひて來きたれ我われ汝なんぢらを汝なんぢらが尋󠄃たづぬる人ひとの所󠄃ところに携つれゆかんとて彼等かれらをサマリヤにひき至いたれり

20 彼等かれらがサマリヤに至いたりし時ときエリシヤ言いひけるはヱホバよ此この人々ひと〴〵の目めをひらきて見みさせたまへと即すなはちヱホバかれらの目めを開ひらきたまひたれば彼等かれら見みるにその身みはサマリヤの中うちにあり 21 イスラエルの王わうかれらを見みてエリシヤに言いひけるはわが父󠄃ちゝよ我われ擊うち殺ころすべきや擊うち殺ころすべきや 22 エリシヤ答こたへけるは擊うち殺ころすべからず汝なんぢ劍つるぎと弓ゆみをもて擄とりこにせる者等ものどもを擊うち殺ころすことを爲せんやパンと水みづと彼かれらの前󠄃まへにそなへて食󠄃くひ飮のみせしめてその主しゆ君くんに往󠄃ゆかしむべきなり 23 王わうすなはちかれらの爲ために大おほいなる饗宴ふるまひをまうけ其その食󠄃くひ飮のみををはるに及およびてこれを去さらしめたればすなはち其その主しゆ君くんに歸かへれり是こゝをもてスリアの兵つはものふたゝびイスラエルの地ちに入いらざりき
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24 此この後のちスリアの王わうベネハダデその全󠄃ぜん軍ぐんを集あつめて上のぼりきたりてサマリヤを攻せめ圍󠄃かこみければ 25 サマリヤ大おほいに糧りやう食󠄃しよくに乏とぼしくなれり即すなはちかれら之これを攻せめかこみたれば遂󠄅つひに驢馬ろばの頭あたま一箇ひとつは銀ぎん八十枚まいにいたり鳩はとの糞ふん一カブの四し分󠄃ぶんの一いちは銀ぎん五枚まいにいたる 26 茲こゝにイスラエルの王わう石垣いしがきの上うへを通󠄃とほりをる時とき一人ひとりの婦󠄃人をんなかれに呼よばはりて我わが主しゆ王わうよ助たすけたまへと言いひければ 27 彼かれ言いふヱホバもし汝なんぢを助たすけたまはずば我われ何なにをもてか汝なんぢを助たすくることを得えん禾場うちばの物ものをもてせんか酒醡さかぶねの中うちの物ものをもてせんか 28 王わうすなはち婦󠄃をんなに何事なにごとなるやと言いへば答こたへて言いふ此この婦󠄃人をんな我われにむかひ汝なんぢの子こを與あたへよ我儕われら今日けふこれを食󠄃くらひて明日あすわが子こを食󠄃くらふべしと言いへり 29 斯かくわれら吾わが子こを煮にてこれを食󠄃くらひけるが我われ次󠄄つぎの日ひにいたりて彼かれにむかひ汝なんぢの子こを與あたへよ我儕われらこれを食󠄃くらはんと言いひしに彼かれその子こを隱かくしたり 30 王わうその婦󠄃人をんなの言ことばを聞きゝて衣ころもを裂さき而しかして石垣いしがきの上うえを通󠄃とほりをりしが民たみこれを見みるにその膚はだに麻󠄃布あさぬのを著つけ居ゐたり 31 王わう言いひけるは今日けふシヤパテの子こエリシヤの首くびその身みの上うへにすわりをらば神かみわれに斯かくなしまた重かさねてかく成󠄃なしたまへ

32 時ときにエリシヤはその家いへに坐ざしをり長老等としよりたちこれと共ともに坐ざし居をる王わうすなはち己おのれの所󠄃ところより人ひとを遣󠄃つかはしけるがエリシヤはその使󠄃者つかひの未いまだ己おのれにいたらざる前󠄃まへに長老等としよりたちに言いふ汝等なんぢらこの人ひとを殺ころす者ものの子こが我われの首くびをとらんとて人ひとを遣󠄃つかはすを見みるや汝等なんぢら觀みてその使󠄃者つかひ至いたらば戶とを閉とぢてこれを戶との內うちにいるるなかれ彼かれの主しゆ君くんの足あし音󠄃おとその後うしろにするにあらずやと〘528㌻〙 33 斯かく彼等かれらと語かたりをる間うちにその使󠄃者つかひかれの許もとに來きたりしが王わうもつづいて來きたり言いひけるは此この災わざはひはヱホバより出いでたるなり我われなんぞ此この上うへヱホバを待まつべけんや

第7章

1 エリシヤ言いひけるは汝なんぢらヱホバの言ことばを聽きけヱホバかく言いひたまふ明日あすの今いま頃ごろサマリヤの門もんにて麥むぎ粉󠄃こ一セアを一シケルに賣うり大おほい麥むぎ二セアを一シケルに賣うるにいたらん
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2 時ときに一人ひとりの大たい將しやうすなはち王わうのその手てに依よれる者もの神かみの人ひとに答こたへて言いひけるは由よしやヱホバ天てんに窓まどをひらきたまふも此事このことあるべけんやエリシヤいひけるは汝なんぢは汝なんぢの目めをもて之これを見みん然されどこれを食󠄃くらふことはあらじ

3 茲こゝに城󠄃邑まちの門もんの入いり口くちに四人よたりの癩らい病びやう人にんをりしが互たがひに言いひけるは我儕われらなんぞ此こゝに坐ざして死しぬるを待まつべけんや 4 我われら若もし邑まちにいらんと言いへば邑まちには食󠄃物しよくもつ竭つきてあれば我われら其處そこに死しなんもし又󠄂また此こゝに坐ざしをらば同おなじく死しなん然されば我儕われらゆきてスリアの軍勢ぐんぜいの所󠄃ところにいたらん彼かれら我われらを生いかしおかば我儕われら生いきん若もしわれらを殺ころすも死しぬるのみなりと 5 すなはちスリア人びとの陣ぢん營えいにいたらんとて黃昏たそがれに起󠄃たちあがりしがスリアの陣ぢん營えいの邊󠄎ほとりにいたりて視みるに一人ひとりも其處そこにをる者ものなし 6 是これより先さきに主しゆスリアの軍勢ぐんぜいをして車くるまの聲おと馬むまの聲おと大軍たいぐんの聲おとを聞きかしめたまひしかば彼かれら互たがひに言いひけるは視みよイスラエルの王わうわれらに敵てきせんとてヘテ人びとの王等わうたちおよびエジプトの王等わうたちを傭やとひきたりて我われらを襲󠄂おそはんとすと 7 すなはち黃昏たそがれに起󠄃たちて逃󠄄にげその天てん幕まくと馬むまと驢馬ろばとを棄すて陣ぢん營えいをその儘まゝになしおき生命いのちを全󠄃まつたうせんとて逃󠄄にげたり 8 かの癩らい病びやう人にん等ら陣ぢん營えいの邊󠄎ほとりに至いたりしが遂󠄅つひに一ひとつの天てん幕まくにいりて食󠄃くひ飮のみし其處そこより金銀きんぎん衣服󠄃いふくを持もちさりて往󠄃ゆきてこれを隱かくし又󠄂またきたりて他ほかの天てん幕まくにいり其處そこよりも持もちさりて往󠄃ゆきてこれを隱かくせり

9 かくて彼等かれら互たがひに言いひけるは我儕われらのなすところ善よからず今日けふは好よき消󠄃息おとづれある日ひなるに我儕われらは默もくし居をる若もし夜明よあけまで待またば菑害󠄅わざはひ身みにおよばん然されば來きたれ往󠄃ゆきて王わうの眷けん屬ぞくに吿つげんと 10 すなはち來きたりて邑まちの門もんを守まもる者ものを呼よびこれに吿つげて言いひけるは我儕われらスリア人びとの陣ぢん營えいにいたりて視みるに其處そこには一人ひとりも居をる者ものなく亦また人ひとの聲こゑもせず但たゞ馬むまのみ繋つなぎてあり驢馬ろばのみ繋つなぎてあり天てん幕まくは其その儘まゝなりと 11 是こゝにおいて門もんを守まもる者もの呼よばはりてこれを王わうの家いへの中うちに報しらせたれば 12 王わう夜よの中うちに興おきいでてその臣下けらいに言いひけるは我われスリア人びとが我儕われらになせる所󠄃ところの如何いかんを汝等なんぢらに示しめさん彼等かれらはわれらの饑󠄃うゑたるを知しるが故ゆゑに陣ぢん營えいを去さりて野のに隱かくる是こはイスラエル人びと邑まちを出いでなば生擒いけどりて邑まちに推おしいらんと言いひて然しかせるなり〘529㌻〙
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13 その臣下けらいの一人ひとり對こたへて言いひけるは請󠄃こふ尙なほ遺󠄃のこされて邑まちに存のこれる馬むまの中うち五匹󠄃ひきを取とらしめよ我儕われら人ひとを遣󠄃たりて窺うかゞはしめん視みよ是等これらは邑まちの中うちに遺󠄃のこれるイスラエルの全󠄃ぜん群衆ぐんしうのごとし視みよ是等これらは滅ほろび亡うせたるイスラエルの全󠄃ぜん群衆ぐんしうのごとくなりと 14 是こゝにおいて二輛ふたつの戰車いくさぐるまとその馬むまを取とれり王わうすなはち往󠄃ゆきて見みよといひて人ひとを遣󠄃つかはしてスリアの軍勢ぐんぜいの跡あとを尾つけしめたれば 15 彼かれらその跡あとを尾つけてヨルダンにいたりしが途󠄃みちには凡すべてスリア人びとが狼狽あはて逃󠄄のぐる時ときに棄すてたる衣服󠄃ころもと器具󠄄うつは盈みてりその使󠄃者つかひかへりてこれを王わうに吿つげければ

16 民たみいでてスリア人びとの陣ぢん營えいを掠かすめたり斯在かかりしかば麥むぎ粉󠄃こ一セアは一シケルとなり大おほ麥むぎ二セアは一シケルと成󠄃なるヱホバの言ことばのごとし 17 爰こゝに王わうその手てに依よるところの彼かの大たい將しやうを立たてて門もんを司つかさどらしめたるに民たみ門もんにて彼かれを踐ふみたれば死しねり即すなはち神かみの人ひとが王わうのおのれに下くだり來きし時ときに言いひたる言ことばのごとし 18 又󠄂また神かみの人ひとが王わうにつげて明日あすの今いま頃ごろサマリヤの門もんにて大おほ麥むぎ二セアを一シケルに賣うり麥むぎ粉󠄃こ二セアを一シケルに賣うるにいたらんと言いひしごとくに成󠄃なりぬ 19 彼かの大たい將しやうその時ときに神かみの人ひとにこたへてヱホバ天てんに窓まどをひらきたまふも此事このことあるべけんやと言いひたりしかば答こたへて汝なんぢ目めをもてこれを見みるべけれどもこれを食󠄃くらふことはあらじと言いひたりしが 20 そのごとくになりぬ即すなはち民たみ門もんにてかれを踐ふみて死しなしめたり

第8章

1 エリシヤ甞かつてその子こを甦いきかへらせて與あたへし婦󠄃をんなに言いひしことあり曰いはく汝なんぢ起󠄃たちて汝なんぢの家族かぞくとともに往󠄃ゆき汝なんぢの寄寓とゞまらんとおもふ處ところに寄寓とゞまれ其そはヱホバ饑󠄃饉ききんを呼よびくだしたまひたれば七年ねんの間あひだこの地ちに臨のぞむべければなりと 2 是こゝをもて婦󠄃をんな起󠄃たちて神かみの人ひとの言ことばのごとくに爲なしその家族かぞくとともに往󠄃ゆきてペリシテ人びとの地ちに七年ねん寄寓とゞまりぬ 3 かくて七年ねんを經へて後のち婦󠄃人をんなペリシテ人びとの地ちより歸かへりしが自己おのれの家いへと田畝たはたのために王わうに呼よびもとめんとて往󠄃ゆけり 4 時ときに王わうは神かみの人ひとの僕しもべゲハジにむかひ請󠄃こふエリシヤが爲なせし諸もろ〳〵の大おほいなる事等ことどもを我われに吿つげよと言いひてこれと談話ものいひをる
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5 即すなはち彼かれエリシヤが死し人にんを甦いきかへらせしことを王わうにものがたりをる時ときにその子こを彼かれが甦いきかへらせし婦󠄃をんな自己おのれの家いへと田畝たはたのために王わうに呼よびもとめければゲハジ言いふわが主しゆ王わうよ是これすなはちその婦󠄃人をんななり是これすなはちエリシヤが甦いきかへらせしその子こなり 6 王わうすなはちその婦󠄃をんなに尋󠄃たづねけるにこれを陳のべたれば王わう彼かれのために一人ひとりの官吏󠄄くわんりを派󠄄出つかはして言いふ凡すべて彼かれに屬ぞくする物もの並ならびに彼かれがこの地ちを去さりし日ひより今いまにいたるまでの其その田畝たはたの產出あがり物ものを悉こと〴〵く彼かれに還󠄃かへせよと〘530㌻〙

7 エリシヤ、ダマスコに至いたれる事ことあり時ときにスリアの王わうベネハダデ病やまひにかかりをりしがこれにつげて神かみの人ひと此こゝにきたると言いふ者ものありければ 8 王わうハザエルに言いふ汝なんぢ手てに禮物おくりものをとり往󠄃ゆきて神かみの人ひとを迎󠄃むかへ彼かれによりてヱホバに吾わがこの病やまひは愈󠄃いゆるやと言いひて問とへ 9 是こゝにおいてハザエルかれを迎󠄃むかへんとて出いで往󠄃ゆきダマスコのもろもろの佳物よきもの駱駝らくだに四十駄だを禮物おくりものに携たづさへて到いたりて彼かれの前󠄃まへに立たち曰いひけるは汝なんぢの子こスリアの王わうベネハダデ我われを汝なんぢにつかはして吾わがこの病やまひは愈󠄃いゆるやと言いはしむ 10 エリシヤかれに言いひけるは往󠄃ゆきてかれに汝なんぢはかならず愈󠄃いゆべしと吿つげよ但たゞしヱホバかれはかならず死しなんと我われにしめしたまふなり 11 而しかして神かみの人ひと瞳󠄂子ひとみをさだめて彼かれの羞はづるまでに見みつめ乃やがて哭なきいでたれば 12 ハザエルわが主しゆよ何などて哭なきたまふやと言いふにエリシヤ答こたへけるは我われ汝なんぢがイスラエルの子孫ひと〴〵になさんところの害󠄅がい惡あくを知しればなり即すなはち汝なんぢは彼等かれらの城󠄃しろに火ひをかけ壯年さかりの人ひとを劍つるぎにころし子等こどもを挫ひしぎ孕はらみ女をんなを刳さかん 13 ハザエル言いひけるは汝なんぢの僕しもべは犬いぬなるか何なんぞ斯かゝる大おほいなる事ことをなさんエリシヤ答こたへけるはヱホバ我われにしめしたまふ汝なんぢはスリアの王わうとなるにいたらん 14 斯かくて彼かれエリシヤを離はなれて去さりてその主しゆ君くんにいたるにエリシヤは汝なんぢに何なにと言いひしやと尋󠄃たづねければ答こたへて彼かれ汝なんぢはかならず愈󠄃いゆるあらんと我われに吿つげたりと言いふ 15 翌󠄃日あくるひにいたりてハザエル粗あらき布ぬのをとりて水みづに浸󠄃ひたしこれをもて王わうの面かほを覆󠄄おほひたれば死しねりハザエルすなはち之これにかはりて王わうとなる
 690㌻ 

16 イスラエルの王わうアハブの子こヨラムの五年ねんにはヨシヤパテ尙なほユダの王わうたりき此この年としにユダの王わうヨシヤバテの子こヨラム位くらゐに即つけり 17 彼かれは位くらゐに即つきし時とき三十二歳さいにして八年ねんの間あひだエルサレムにて世よを治をさめたり 18 彼かれはアハブの家いへのなせるがごとくにイスラエルの王等わうたちの道󠄃みちを行おこなへりアハブの女むすめかれの妻つまなりければなり斯かく彼かれはヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせしかども 19 ヱホバその僕しもべダビデのためにユダを滅ほろぼすことを好このみたまはざりき即すなはち彼かれにその子孫しそんによりて恒つねに光明ひかりを與あたへんと言いひたまひしがごとし

20 ヨラムの代よにエドム叛󠄃そむきてユダの手てに服󠄃ふくせず自みづから王わうを立たてたれば 21 ヨラムその一切すべての戰車いくさぐるまをしたがへてザイルに渉わたりしが遂󠄅つひに夜よの中うちに起󠄃たちあがりて自己おのれを圍󠄃かこめるエドム人びとを擊うちその戰車いくさぐるまの長かしら等たちを擊うてり斯かくして民たみはその天てん幕まくに逃󠄄にげゆきぬ 22 エドムは斯かく叛󠄃そむきてユダの手てに服󠄃ふくせずなりしが今日こんにちまで然しかり此時このときにあたりてリブナもまた叛󠄃そむけり〘531㌻〙 23 ヨラムのその餘ほかの行爲わざおよびその凡すべて爲なしたる事等ことどもはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさるるにあらずや 24 ヨラムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてダビデの邑まちにその先祖せんぞたちと同おなじく葬はうむられその子こアハジアこれに代かはりて王わうとなれり

25 イスラエルの王わうアハブの子こヨラムの十二年ねんにユダの王わうヨラムの子こアハジア位くらゐに即つけり 26 アハジアは位くらゐに即つきし時とき二十二歳さいにしてエルサレムにて一年ねん世よを治をさめたりその母はゝはイスラエルの王わうオムリの孫まご女むすめにして名なをアタリヤといふ 27 アハジアはアハブの家いへの道󠄃みちにあゆみアハブの家いへのごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせり是これかれはアハブの家いへの婿むこなりければなり 28 茲こゝにアハブの子こヨラム自身みづからゆきてスリアの王わうハザエルとギレアデのラモテに戰たゝかひけるがスリア人びと等らヨラムに傷きずを負󠄅おはせたり 29 是こゝに於おいてヨラム王わうはそのスリアの王わうハザエルと戰たゝかふにあたりてラマに於おいてスリア人びとに負󠄅おはせられたるところの傷きずを療いやさんとてヱズレルに歸かへれりユダの王わうヨラムの子こアハジアはアハブの子こヨラムが病やみをるをもてヱズレルに下くだりて之これを訪とふ
 691㌻ 

第9章

1 茲こゝに預言者よげんしやエリシヤ預言者よげんしやの徒ともがら一人ひとりを呼よびてこれに言いふ汝なんぢ腰󠄃こしをひきからげ此この膏あぶらの瓶びんを手てにとりてギレアデのラモテに往󠄃ゆけ 2 而しかして汝なんぢかしこに到いたらばニムシの子こなるヨシヤパテの子こヱヒウを其處そこに尋󠄃たづね獲えて內うちに入いり彼かれをその兄弟きやうだいの中うちより起󠄃たゝしめて奧おくの間まにつれゆき 3 膏あぶらの瓶びんをとりその首かうべに灌そゝぎて言いへヱホバかく言いひたまふ我われ汝なんぢに膏あぶらをそそぎてイスラエルの王わうとなすと而しかして戶とを開ひらきて逃󠄄にげされよ止とゞまること勿なかれ 4 是こゝにおいて預言者よげんしやの僕しもべなるその少者わかものギレアデのラモテに往󠄃ゆきけるが 5 到いたりて見みるに軍勢ぐんぜいの長等かしらたち坐ざしてをりければ將軍しやうぐんよ我われ汝なんぢに吿つぐべき事ことありと言いふにヱヒウこたへて我儕われら諸人もろ〳〵の中うちの誰たれにかと言いひたれば將軍しやうぐんよ汝なんぢにと言いふ 6 ヱヒウすなはち起󠄃たちて家いへにいりければ彼かれその首かうべに膏あぶらをそそぎて之これに言いふイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ我われ汝なんぢに膏あぶらをそそぎてヱホバの民たみイスラエルの王わうとなす 7 汝なんぢはその主しゆアハブの家いへを擊うちほろぼすべし其それによりて我われわが僕しもべなる預言者よげんしや等たちの血ちとヱホバの諸もろ〳〵の僕しもべ等たちの血ちをイゼベルの身みに報むくいん 8 アハブの家いへは全󠄃まつたく滅亡ほろぶべしアハブに屬ぞくする男をとこはイスラエルにありて繋つながれたる者ものも繋つながれざる者ものもともに之これを絕たつべし 9 我われアハブの家いへをネバテの子こヤラベアムの家いへのごとくに爲なしアヒヤの子こバアシヤの家いへのごとくになさん〘532㌻〙 10 ヱズレルの地ちにおいて犬いぬイゼベルを食󠄃くらふべし亦またこれを葬はうむるものあらじと而しかして戶とを啓󠄃ひらきて逃󠄄にげされり

11 かくてヱヒウその主しゆの臣僕しもべ等らの許もとにいできたりたれば一人ひとり之これに言いふ平󠄃安へいあんなるやこの狂くるへる者もの何なにのために汝なんぢにきたりしやヱヒウこたへて汝等なんぢらはかの人ひとを知しれりまたその言いふところを知しるなりと言いふに 12 彼等かれら言いひけらく謊󠄃うそなり其それを我儕われらに吿つげよと是こゝにおいてヱヒウ言いひけるは彼かれ斯々かく〳〵我われにつげて言いへりヱホバかく言いひたまふ我われ汝なんぢに膏あぶらをそそぎてイスラエルの王わうとなすと
 692㌻ 
13 彼等かれらすなはち急󠄃いそぎて各人おの〳〵その衣服󠄃ころもをとりこれを階きざはしの上うへヱヒウの下したに布しき喇叭らつぱを吹ふきてヱヒウは王わうたりと言いへり

14 ニムシの子こなるヨシヤバテの子こヱヒウ斯かくヨラムに叛󠄃そむけり(ヨラムはイスラエルを盡こと〴〵くひきゐてギレアデのラモテに於おいてスリアの王わうハザエルを禦ふせぎたりしが 15 ヨラム王わうはそのスリアの王わうハザエルと戰たゝかふ時ときにスリア人びとに負󠄅おはせられたるところの傷きずを痊いやさんとてヱズレルに歸かへりてをる)ヱヒウ言いひけるは若もしなんぢらの心こゝろにかなはば一人ひとりもこの邑まちより走はせいでてこれをヱズレルに言いふ者ものなからしめよと 16 ヱヒウすなはちヱズレルをさして乘のり往󠄃ゆけりヨラムかしこに臥ふしをればなりまたユダの王わうアハジアはヨラムを訪とひに下くだりてをる

17 ヱズレルの戌樓やぐらに一箇ひとりの守望󠄇者ものみ立たちをりしがヱヒウの群衆ぐんしうのきたるを見みて我われ群衆ぐんしうを見みるといひければヨラム言いふ一人ひとりを馬むまに乘のせて遣󠄃つかはし其それに會あはしめて平󠄃安へいあんなるやと言いはしめよと 18 是こゝにおいて一人ひとり馬むまにて行ゆきてこれに會あひ王わうかく宣のたまふ平󠄃安へいあんなるやと言いふにヱヒウ言いひけるは平󠄃安へいあんは汝なんぢの與あづかるところならんや吾わが後うしろにまはれと守望󠄇者ものみまた吿つげて言いふ使󠄃者つかひかれらの許もとに往󠄃ゆきたるが歸かへり來こずと 19 是こゝをもて再ふたゝび人ひとを馬むまにて遣󠄃つかはしたればその人ひとかれらに到いたりて王わうかく宣のたまふ何なにか變かはる事ことあるやと言いふにヱヒウ答こたへて平󠄃安へいあんは汝なんぢの與あづかるところならんや吾わが後うしろにまはれと言いふ 20 守望󠄇者ものみまた吿つげて言いふ彼かれも彼等かれらの所󠄃ところにまで到いたりしが歸かへり來こずその車くるまを趨はしらするはニムシの子こヱヒウが趨はしらするに似に狂くるふて趨はしらせ來きたる

21 是こゝにおいてヨラム車くるまを整ととのへよと言いひけるが車くるま整ととのひたればイスラエルの王わうヨラムとユダの王わうアハジアおのおのその車くるまにて出いでたり即すなはちかれらヱヒウにむかひて出いできたりヱズレル人びとナボテの地ちにて之これに會あひけるが 22 ヨラム、ヱヒウを見みてヱヒウよ平󠄃安へいあんなるやといひたればヱヒウこたへて汝なんぢの母はゝイゼベルの姦淫かんいんと魔󠄃術󠄃まじゆつと斯かく多おほかれば何なにの平󠄃安へいあんあらんやと云いへり〘533㌻〙
 693㌻ 
23 ヨラムすなはち手てをめぐらして逃󠄄にげアハジアにむかひ反はん逆󠄃ぎやくなりアハジアよと言いふに 24 ヱヒウ手てに弓ゆみをひきしぼりてヨラムの肩󠄃かたの間あひだを射󠄂いたればその矢やかれの心こゝろをいぬきて出いで彼かれは車くるまの中なかに偃󠄂ふししづめり 25 ヱヒウその將しやうビデカルに言いひけるは彼かれをとりてヱズレル人びとナボテの地ちの中うちに投なげすてよ其そは汝なんぢ憶おもふべし甞かつて我われと汝なんぢと二人ふたりともに乘のりて彼かれの父󠄃ちゝアハブに從したがへる時ときにヱホバ斯かくかれの事ことを預言よげんしたまへり 26 曰いはくヱホバ言いふ誠󠄃まことに我われ昨日きのふナボテの血ちとその子等こらの血ちを見みたりヱホバ言いふ我われこの地ちにおいて汝なんぢにむくゆることあらんと然されば彼かれをとりてその地ちになげすててヱホバの言ことばのごとくにせよ

27 ユダの王わうアハジアはこれを視みて園そのの家いへの途󠄃みちより逃󠄄にげゆきけるがヱヒウその後あとを追󠄃おひ彼かれをも車くるまの中なかに擊うちころせと言いひしかばイブレアムの邊󠄎ほとりなるグルの坂さかにてこれを擊うちたればメギドンまで逃󠄄にげゆきて其處そこに死しねり 28 その臣僕しもべ等らすなはち之これを車くるまにのせてエルサレムにたづさへゆきダビデの邑まちにおいてかれの墓はかにその先祖せんぞ等たちとおなじくこれを葬はうむれり

29 アハブの子こヨラムの十一年ねんにアハジアはユダの王わうとなりしなり

30 斯かくてヱヒウ、ヱズレルにきたりしかばイゼベル聞きゝてその目めを塗ぬり髮かみをかざりて窓まどより望󠄇のぞみけるが 31 ヱヒウ門もんに入いりきたりたればその主しゆを弑しいせしジムリよ平󠄃安へいあんなるやと言いへり 32 ヱヒウすなはち面おもてをあげて窓まどにむかひ誰たれか我われに與つくものあるや誰たれかあるやと言いひけるに二三にさんの寺人じじんヱヒウを望󠄇のぞみたれば 33 彼かれを投なげおとせと言いへりすなはち之これを投なげおとしたればその血牆ちかきと馬むまとにほどばしりつけりヱヒウこれを踏ふみとほれり 34 斯かくて彼かれ內うちにいりて食󠄃くひ飮のみをなし而しかして言いひけるは往󠄃ゆきてかの詛のろはれし婦󠄃をんなを見みこれを葬はうむれ彼かれは王わうの女子むすめなればなりと
 694㌻ 
35 是こゝをもて彼かれを葬はうむらんとて往󠄃ゆきて見みるにその頭かしら骨ぼねと足あしと掌たなごころとありしのみなりければ 36 歸かへりて彼かれにつぐるに彼かれ言いふ是これすなはちヱホバがその僕しもべなるテシベ人びとエリヤをもて吿つげたまひし言ことばなり云いはくヱズレルの地ちにおいて犬いぬイゼベルの肉󠄁にくを食󠄃くらはん 37 イゼベルの屍骸しかばねはヱズレルの地ちに於おいて糞土ふんどのごとくに野のの表おもてにあるべし是こゝをもて是これはイゼベルなりと指さして言いふこと能あたはざらん

第10章

1 アハブ、サマリヤに七十人にんの子こあり茲こゝにヱヒウ書ふみをしたためてサマリヤにおくり邑まちの牧伯等つかさたちと長老等としよりたちとアハブの子等こどもの師し傳ふ等らとに傳つたへて云いふ〘534㌻〙 2 汝なんぢらの主しゆの子等こたち汝なんぢらとともにあり又󠄂また汝等なんぢらは車くるまも馬むまも城󠄃しろもあり且かつ武器ぶきもあれば此この書ふみ汝なんぢらの許もとにいたらば 3 汝なんぢらの主しゆの子等こどもの中うちより最もつとも優まされる方正たゞしき者ものを選󠄄えらみ出いだしてその父󠄃ちゝの位くらゐに置すゑ汝等なんぢらの主しゆの家いへのために戰たゝかへよ 4 彼かれら大おほいに恐おそれて言いふ二人ふたりの王等わうたちすでに彼かれに當あたることを得えざりしなれば我儕われらいかでか當あたることを得えんと 5 乃すなはち家宰みやのつかさ邑宰まちのつかさ長老としより師し傳ふ等らヱヒウに言いひおくりけるは我儕われらは汝なんぢの僕しもべなり凡すべて汝なんぢが我儕われらに命めいずる事ことを爲なさん我儕われらは王わうを立たつるを好このまず汝なんぢの目めに善よしと見みゆる所󠄃ところを爲なせ 6 是こゝにおいてヱヒウ再度ふたゝびかれらに書ふみをおくりて云いふ汝なんぢらもし我われに與つき我わが言ことばにしたがふならば汝なんぢらの主しゆの子こなる人々ひと〴〵の首くびをとりて明日あすの今いま頃ごろヱズレルにきたりて吾わが許もとにいたれと當時そのころ王わうの子こ七十人にんはその師し傳ふなる邑まちの貴人きにん等たちとともに居をる 7 その書ふみかれらに至いたりしかば彼等かれら王わうの子等こたちをとらへてその七十人にんをことごとく殺ころしその首くびを籃かごにつめてこれをヱズレルのヱヒウの許もとにつかはせり 8 すなはち使󠄃者つかひいたりてヱヒウに吿つげて人衆ひと〴〵王わうの子等こたちの首くびをたづさへ來きたれりと言いひければ明あくる朝󠄃あさまでそれを門もんの入いり口ぐちに二ふた山やまに積つみおけと言いへり 9 朝󠄃あしたにおよび彼かれ出いでて立たちすべての民たみに言いふ汝等なんぢらは義たゞし我われはわが主しゆにそむきて之これを弑しいしたり然されど此このすべての者等ものどもを殺ころせしは誰たれなるぞや 10 然されば汝等なんぢら知しれヱホバがアハブの家いへにつきて吿つげたまひしヱホバの言ことばは一ひとつも地ちに隕おちず即すなはちヱホバはその僕しもべエリヤによりて吿つげし事ことを成󠄃なしたまへりと
 695㌻ 
11 斯かくてヱヒウはアハブの家いへに屬ぞくする者もののヱズレルに遺󠄃のこれるを盡こと〴〵く殺ころしまたその一切すべての重おも立だちたる者ものその親したしき者ものおよびその祭司さいし等らを殺ころして彼かれに屬ぞくする者ものを一人ひとりも遺󠄃のこさゞりき

12 ヱヒウすなはち起󠄃たちて往󠄃ゆきてサマリヤに至いたりしがヱヒウ途󠄃みちにある時とき牧者ぼくしやの集會あつまり所󠄃どころにおいて 13 ユダの王わうアハジアの兄弟きやうだい等たちに遇󠄃あひ汝等なんぢらは何人なにびとなるやと言いひけるに我儕われらはアハジアの兄弟きやうだいなるが王わうの子等こたちと王わう母ぼの子等こたちの安否あんぴを問とはんとて下くだるなりと答こたへたれば 14 彼等かれらを生擒いけどれと言いへり即すなはちかれらを生擒いけどりりその集會あつまり所󠄃どころの穴󠄄あなの側そばにて彼等かれら四十二人にんを盡こと〴〵く殺ころし一人ひとりをも遺󠄃のこさゞりき

15 斯かくてヱヒウ其處そこより進󠄃すゝみゆきしがレカブの子こヨナダブの己おのれを迎󠄃むかへにきたるに遭󠄃あひければその安否あんぴをとふてこれに汝なんぢの心こゝろはわが心こゝろの汝なんぢの心こゝろと同一ひとつなるがごとくに眞󠄃實しんじつなるやと言いひけるにヨナダブ答こたへて眞󠄃實しんじつなりと言いひたれば然さらば汝なんぢの手てを我われに伸のべよと言いひその手てを伸のべければ彼かれを挽ひきて己おのれの車くるまに登のぼらしめて〘535㌻〙 16 言いふ我われとともに來きたりて我わがヱホバに熱心ねつしんなるを見みよと斯かくかれを己おのれの車くるまに乘のらしめ 17 サマリヤにいたりてアハブに屬ぞくする者もののサマリヤに遺󠄃のこれるを盡こと〴〵く殺ころして遂󠄅つひにその一族いちぞくを滅ほろぼせりヱホバのエリヤに吿つげたまひし言語ことばのごとし

18 茲こゝにヱヒウ民たみをことごとく集あつめてこれに言いひけるはアハブは少すこしくバアルに事つかへたるがヱヒウは大おほいにこれに事つかへんとす 19 然されば今いまバアルの諸すべての預言よげん者しや諸すべての臣僕しもべ諸すべての祭司さいし等らを我わが許もとに召めせ一人ひとりも來きたらざる者ものなからしめよ我われ大おほいなる祭祀まつりをバアルのためになさんとするなり凡すべて來きたらざる者ものは生いかしおかじと但たゞしヱヒウ、バアルの僕しもべ等どもを滅ほろぼさんとて僞いつはりて斯かくなせるなり 20 ヱヒウすなはちバアルの祭禮まつりを設まうけよと言いひければ之これを宣ふれたり 21 是かくてヱヒウあまねくイスラエルに人ひとをつかはしたればバアルの僕しもべたる者もの皆みなきたれり一人ひとりも來きたらずして遺󠄃のこれるものはあらざりき彼等かれらバアルの家いへにいりたればバアルの家いへは末はしより末はしまで充みちわたれり
 696㌻ 
22 時ときにヱヒウ衣裳ころもを掌つかさどる者ものてむかひ禮服󠄃れいふくをとりいだしてバアルの凡すべての僕しもべ等らにあたへよといひければすなはち禮服󠄃れいふくをとりいだせり 23 斯かくありてヱヒウはレカブの子こヨナダブとともにバアルの家いへにいりしがバアルの僕しもべ等らに言いふ汝等なんぢら尋󠄃たづね見みて此こゝには只たゞバアルの僕しもべのみあらしめヱホバの僕しもべを一人ひとりも汝なんぢらの中うちにあらしめざれと 24 彼等かれら犧牲いけにへと燔祭はんさいを献さゝげんとて入いりし時ときヱヒウ八十人にんの者ものを外そとに置おきて言いふ凡すべてわがその手てにわたすところの人ひとを一人ひとりにても逃󠄄のがれしむる者ものは己おのれの生命いのちをもてその人ひとの生命いのちに代かふべしと

25 期かくて燔祭はんさいを献さゝぐることの終󠄃をはりし時ときヱヒウその士し卒そつと諸しよ將しやうに言いふ入いりてかれらを殺ころせ一人ひとりをも出いだすなかれとすなはち刃󠄃やいばをもて彼等かれらを擊うちころせり而しかして士し卒そつと諸しよ將しやうこれを投なげいだしてバアルの家いへの內ない殿でんに入いり 26 諸すべての像󠄃ざうをバアルの家いへよりとりいだしてこれを燒やけり 27 即すなはちかれらバアルの像󠄃ざうをこぼちバアルの家いへをこぼち其そのをもて厠かはやを造󠄃つくりしが今日こんにちまでのこる 28 ヱヒウかくイスラエルの中うちよりバアルを絕たちさりたりしかども

29 ヱヒウは尙なほかのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみに離はなるることをせざりき即すなはち彼かれなほベテルとダンにあるところの金きんの犢こうしに事つかへたり 30 ヱホバ、ヱヒウに言いひたまひけらく汝なんぢわが義ただしと視みるところの事ことを行おこなふにあたりて善よく事ことをなしまたわが心こゝろにある諸すべての事ことをアハブの家いへになしたれば汝なんぢの子孫こどもは四よ代だいまでイスラエルの位くらゐに坐ざせんと〘536㌻〙 31 然しかるにヱヒウは心こゝろを盡つくしてイスラエルの神かみヱホバの律法おきてをおこなはんとはせず尙なほかのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるヤラベアムの罪つみに離はなれざりき

32 是この時ときにあたりてヱホバ、イスラエルを割󠄅さくことを始はじめたまへりハザエルすなはちイスラエルの一切すべての邊󠄎境さかひを侵󠄃をかし 33 ヨルダンの東ひがしにおいてギレアデの全󠄃地ぜんちガド人びとルベン人びとマナセ人びとの地ちを侵󠄃をかしアルノン河がはの邊󠄎ほとりなるアロエルよりギレアデにいたりバシヤンにおよべり
 697㌻ 
34 ヱヒウのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことおよびその大おほいなる能ちからはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさるるにあらずや 35 ヱヒウその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたればこれをサマリヤに葬はうむりぬその子こヱホアハズこれに代かはりて王わうとなれり 36 ヱヒウがサマリヤにをりてイスラエルに王わうたりし間あひだは二十八年ねんなりき

第11章

1 茲こゝにアハジアの母はゝアタリヤその子この死しにたるを見みて起󠄃たちて王わうの種たねを盡こと〴〵く滅ほろぼしたりしが 2 ヨラム王わうの女むすめにしてアハジアの姉妹しまいなるヱホシバといふ者ものアハジアの子こヨアシを王わうの子等こたちの殺ころさるる者ものの中うちより竊ぬすみとり彼かれとその乳󠄃母うばを夜よ着ぎの室まにいれて彼かれをアタリヤに匿かくしたれば終󠄃つひにころされざりき 3 ヨアシは彼かれとともに六年ねんヱホバの家いへに隱かくれてをりアタリヤ國くにを治をさめたり

4 第だい七年ねんにいたりヱホヤダ人びとを遣󠄃つかはして近󠄃衛󠄅このゑ兵へいの大たい將しやう等たちを招まねきよせヱホバの家いへにきたりて己おのれに就つかしめ彼等かれらと契󠄅約けいやくを結むすび彼かれらにヱホバの家いへにて誓ちかひをなさしめて王わうの子こを見しめし 5 かれらに命めいじて言いふ汝等なんぢらがなすべき事ことは是これなり汝等なんぢら安息日あんそくにちに入いりきたる者ものは三分󠄃ぶんの一は王わうの家いへをまもり 6 三分󠄃ぶんの一はスル門もんにをり三分󠄃ぶんの一は近󠄃衛󠄅このゑ兵へいの後うしろの門もんにをるべし斯かくなんぢら宮殿みやをまもりて人ひとをいるべからず 7 また凡すべて汝等なんぢら安息日あんそくにちに出いでゆく者ものはその二ふた手てともにヱホバの家いへにおいて王わうをまもるべし 8 すなはち汝なんぢらおのおの武器ぶきを手てにとりて王わうを環󠄃めぐりて立たつべし凡すべてその列れつを侵󠄃をかす者ものをば殺ころすべし汝等なんぢら又󠄂また王わうの出いづる時ときにも入いる時ときにも王わうとともにをるべし

9 是こゝにおいてその將官かしら等たち祭司さいしヱホヤダが凡すべて命めいぜしごとくにおこなへり即すなはちかれらおのおの其その手ての人ひとの安息日あんそくにちに入いりくべき者ものと安息日あんそくにちに出いでゆくべき者ものとを率󠄃ひきゐて祭司さいしヱホヤダに至いたりしかば 10 祭司さいしはヱホバの殿みやにあるダビデ王わうの槍やりと楯たてを大たい將しやう等たちにわたせり
 698㌻ 
11 近󠄃衛󠄅このゑ兵へいはおのおの手てに武器ぶきをとりて王わうの四周󠄃まはりにをり殿みやの右みぎの端はしより左ひだりの端はしにおよびて壇だんと殿みやにそひて立たつ〘537㌻〙 12 ヱホヤダすなはち王わう子じを進󠄃すゝませて之これに冠冕󠄅かんむりをいただかせ律法おきてをわたし之これを王わうとなして之これに膏あぶらをそそぎければ人衆ひと〴〵手てを拍うちて王わう長壽いのちながかれと言いへり

13 茲こゝにアタリヤ近󠄃衛󠄅このゑ兵へいと民たみの聲こゑを聞ききヱホバの殿みやにいりて民たみの所󠄃ところにいたり 14 見みるに王わうは常例ならはしのごとくに高座かうざの上うへに立たち其その傍かたはらに大たい將しやう等たちと喇叭らつぱ手ふき立たちをり又󠄂また國くにの民たみみな喜よろこびて喇叭らつぱを吹ふきをりしかばアタリヤ其その衣ころもを裂さきて反はん逆󠄃ぎやくなり反はん逆󠄃ぎやくなりと叫さけべり 15 時ときに祭司さいしヱホヤダ大たい將しやう等たちと軍勢ぐんぜいの士官つかさ等たちに命めいじてこれに言いふ彼かれをして列れつの間あひだをとほりて出いでしめよ彼かれに從したがふ者ものをば劍つるぎをもて殺ころせと前󠄃さきにも祭司さいしは彼かれをヱホバの家いへに殺ころすべからずと言いひおけり 16 是こゝをもて彼かれのために路みちをひらきければ彼かれ王わうの家いへの馬むま道󠄃みちをとほりゆきしが遂󠄅つひに其處そこに殺ころされぬ

17 斯かくてヱホヤダはヱホと王わうと民たみの間あひだにその皆みなヱホバの民たみとならんといふ契󠄅約けいやくを立たてしめたり亦また王わうと民たみの間あひだにもこれを立たてしめたり 18 是こゝをもて國くにの民たみみなバアルの家いへにいりてこれを毀こぼちその壇だんとその像󠄃ざうを全󠄃まつたく打うち碎くだきバアルの祭司さいしマツタンをその壇だんの前󠄃まへに殺ころせり而しかして祭司さいしヱホバの家いへに監督かんとく者しやを設まうけたり 19 ヱホヤダすなはち大たい將しやう等たちと近󠄃衛󠄅このゑ兵へいと國くにの諸すべての民たみを率󠄃ひきゐてヱホバの家いへより王わうをみちびき下くだり近󠄃衛󠄅このゑ兵へいの門もんの途󠄃みちよりして王わうの家いへにいたり王わうの位くらゐに坐ざせしめたり 20 斯かく有󠄃ありしかば國くにの民たみはみな喜よろこびて邑まちは平󠄃穩おだやかなりきアタリヤは王わうの家いへに殺ころされぬ

21 ヨアシは位くらゐに即つきし時とき七歳さいなりき

第12章

1 ヨアシはヱヒウの七年ねんに位くらゐに即つきエルサレムにおいて四十年ねん世よを治をさめたりその母はゝはベエルシバより出いでたるものにて名なをヂビアといへり 2 ヨアシは祭司さいしヱホヤダの己おのれを誨をしふる間あひだは恒つねにヱホバの善よしと視みたまふ事ことをおこなへり 3 然されど崇邱たかきところは除のぞかずしてあり民たみは尙なほその崇邱たかきところにおいて犧牲いけにへをささげ香かうを焚たけり
 699㌻ 

4 茲こゝにヨアシ祭司さいし等たちに言いひけるは凡すべてヱホバの家いへに聖󠄃別きよめて献納󠄃ささぐるところの金きん即すなはち核󠄂數󠄄かぞへらるる人ひとの金きん估價ねづもりにしたがひて出いだすところの身みの代しろの金きんおよび人々ひと〴〵が心こゝろより願ねがひてヱホバの家いへに持もちきたるところの金きん 5 これを祭司さいし等たちおのおのその知しる人ひとより受うけをさめ何處いづくにても殿みやに破壞やぶれの見みゆる時ときはこれをもてその破壞やぶれを修繕つくろふべしと 6 然しかるにヨアシ王わうの二十三年ねんにおよぶまで祭司さいし等たち殿みやの破壞やぶれを修繕つくろふにいたらざりしかば 7 ヨアシ王わう祭司さいしヱホヤダおよびその他ほかの祭司さいし等たちを召めしてこれに言いふ汝等なんぢらなどて殿みやの破壞やぶれを修繕つくろはざるや然されば今いまよりは汝等なんぢらの知しる人ひとより金きんを受うけて自己おのれのためにすべからず唯たゞ殿みやの破壞やぶれの修理つくろひに其それを供そなふべしと〘538㌻〙 8 祭司さいし等たちは重かさねて民たみより自己おのれのために金きんを受うけず又󠄂また殿みやの破壞やぶれを修理つくろふことをせじと約やくせり

9 斯かくて後のち祭司さいしヱホヤダ一箇ひとつの櫃はこをとりその蓋ふたに孔あなを穿󠄂うがちてこれをヱホバの家いへの入いり口くちの右みぎにおいて壇だんの傍かたはらに置おけり門守かどもりの祭司さいし等らすなはちヱホバの家いへに入いりきたるところの金きんをことごとくその中うちに入いれたり 10 爰こゝにその櫃はこの中うちに金きんの多おほくあることを見みたれば王わうの書記しよきと祭司さいしの長をさと上のぼり來きたりてそのヱホバの家いへに積つもりし金きんを包󠄃つゝみてこれを數󠄄かぞへ 11 その數󠄄かぞへし金きんをこの工事こうじをなす者ものに付わたせり即すなはちヱホバの家いへの監督かんとく者しやにこれを付わたしければ彼等かれらまたヱホバの家いへを修理つくろふところの木匠たくみと建󠄄築たてもの師しにこれを與あたへ 12 石工せきこうおよび琢石者いしきりに與あたへまたこれをもてヱホバの家いへの破壞やぶれを修繕つくろふ材木ざいもくと琢きり石いしを買かひ殿みやを修理つくろふために用もちふる諸もろ〳〵の物もののためにこれを費つひやせり 13 但たゞしヱホバの家いへにり來きたれるその金きんをもてヱホバの家いへのために銀ぎんの盂さら燈剪しんとり鉢はち喇叭らつぱ金きんの器うつは銀ぎんの器うつは等などを造󠄃つくることはせざりき 14 唯たゞこれをその工事こうじをなす者ものにわたして之これをもてヱホバの家いへを修理つくろはしめたり 15 またその金きんを手てにわたして工人こうじんにはらはしめたる人々ひと〴〵と計算けいさんをなすことをせざりき是こは彼等かれら忠厚まめやかに事ことをなしたればなり 16 愆けん金きんと罪ざい金きんはヱホバの家いへにいらずして祭司さいしに歸きせり
 700㌻ 

17 當時そのころスリアの王わうハザエルのぼり來きたりてガテを攻せめてこれを取とり而しかしてハザエル、エルサレムに攻せめのぼらんとてその面おもてをこれに向むけたり 18 是こゝをもてユダの王わうヨアシその先祖せんぞたるユダの王わうヨシヤパテ、ヨラム、アハジア等らが聖󠄃別きよめて献さゝげたる一切すべての物ものおよび自己おのれが聖󠄃別きよめて献さゝげたる物ものならびにヱホバの家いへの庫くらと王わうの家いへとにあるところの金きんを悉こと〴〵く取とりてこれをスリアの王わうハザエルにおくりければ彼かれすなはちエルサレムを離はなれて去さりぬ

19 ヨアシのその餘ほかの行爲わざおよびその凡すべて爲なしたる事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさるるにあらずや 20 茲こゝにヨアシの臣僕しもべ等らおこりて黨たうをむすびシラに下くだるところのミロの家いへにてヨアシを弑しいせり 21 即すなはちその僕しもべシメアテの子こヨザカルとシヨメルの子こヨザバデかれを弑しいして死しなしめたればその先祖せんぞとおなじくこれをダビデの邑まちに葬はうむれりその子こアマジヤこれに代かはりて王わうとなる〘539㌻〙

第13章

1 ユダの王わうアハジアの子こヨアシの二十三年ねんにヱヒウの子こヨハアズ、サマリヤにおいてイスラエルの王わうとなり十七年ねん位くらゐにありき 2 彼かれはヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなし夫かのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみを行おこなひつづけて之これに離はなれざりき 3 是こゝにおいてヱホバ、イスラエルにむかひて怒いかりを發はつしこれをその代よのあひだ恒つねにスリアの王わうハザエルの手てにわたしおき又󠄂またハザエルの子こベネハダデの手てに付わたし置おきたまひしが 4 ヨアハズ、ヱホバに請󠄃こひ求もとめたればヱホバつひにこれを聽きゝいれたまへり其そはイスラエルの苦難なやみを見みそなはしたればなり即すなはちスリアの王わうこれをなやませるなり 5 ヱホバつひに救者すくひてをイスラエルにたまひたればイスラエルの子孫ひと〴〵はスリア人びとの手てを脱はなれて疇昔まへの如ごとくに己々おのれおのれの天てん幕まくに住󠄃すむにいたれり 6 但たゞし彼等かれらはイスラエルに罪つみを犯をかさしめたるヤラベアムの家いへの罪つみをはなれずして之これをおこなひつづけたりサマリヤにも亦またアシタロテの像󠄃ざうたちをりぬ
 701㌻ 
7 嚮󠄇さきにスリアの王わうは民たみを滅ほろぼし踐ふみくだく塵ちりのごとくに是これをなして只たゞ騎兵きへい五十人にん車くるま十輌りやう步ほ兵へい一萬まん人にん而巳のみをヨアハズに遺󠄃のこせり 8 ヨアハズのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことおよびその能ちからはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるに非あらずや 9 ヨアハズその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたればこれをサマリヤに葬はうむれりその子こヨアシこれに代かはりて王わうとなる

10 ユダの王わうヨアシの三十七年ねんにヨアハズの子こヨアシ、サマリヤにおいてイスラエルの王わうとなり十六年ねん位くらゐにありき 11 彼かれヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなし夫かのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの諸もろ〳〵の罪つみにはなれずしてこれを行おこなひつづけたり 12 ヨアシのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことおよびそのユダの王わうアマジヤと戰たゝかひし能ちからはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさるるに非あらずや 13 ヨアシその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてヤラベアム位くらゐにのぼれりヨアシはイスラエルの王等わうたちとおなじくサマリヤに葬はうむらる

14 茲こゝにエリシヤ死しに病やまひにかかりて疾やみをりしかばイスラエルの王わうヨアシ彼かれの許もとにくだり來きてその面かほの上うへに淚なみだをこぼし吾わが父󠄃ちゝ吾わが父󠄃ちゝイスラエルの兵へい車しやよその騎兵きへいよと言いへり 15 エリシヤかれにむかひ弓ゆみ矢やをとれと言いひければすなはち弓ゆみ矢やをとれり 16 エリシヤまたイスラエルの王わうに汝なんぢの手てを弓ゆみにかけよと言いひければすなはちその手てをかけたり是こゝにおいてエリシヤその手てを王わうの手ての上うへに按おきて 17 東ひがし向むきの窓まどを開ひらけと言いひたれば之これを開ひらきけるにエリシヤまた射󠄂いよと言いへり彼かれすなはち射󠄂いたればエリシヤ言いふヱホバよりの拯救すくひの矢やスリアに對たいする拯救すくひの矢や汝なんぢ必かならずアベクにおいてスリア人びとを擊うちやぶりてこれを滅ほろぼしつくすにいたらん〘540㌻〙 18 エリシヤまた矢やを取とれと言いひければ取とれりエリシヤまたイスラエルの王わうに地ちを射󠄂いよといひけるに三次󠄄みたび射󠄂いて止やめたれば
 702㌻ 
19 神かみの人ひと怒いかりて言いふ汝なんぢは五いつ回たびも六む回たびも射󠄂いるべかりしなり然しかせしならば汝なんぢスリアを擊うちやぶりて之これを滅ほろぼしつくすことを得えん然されど今いま然しかせざれば汝なんぢがスリアを擊うちやぶることは三次󠄄みたびのみなるべしと

20 エリシヤ終󠄃つひに死しにたればこれを葬はうむりしが年としの立たちかへるに及およびてモアブの賊󠄄ぞく黨たう國くににいりきたれり 21 時ときに一箇ひとりの人ひとを葬はうむらんとする者ものありしが賊󠄄ぞく黨たうを見みたればその人ひとをエリシヤの墓はかにおしいれけるにその人ひといりてエリシヤの骨ほねにふるるや生いきかへりて起󠄃たちあがれり

22 スリアの王わうハザエルはヨアハズの一いつ生しやうの間あひだイスラエルをなやましたりしが 23 ヱホバそのアブラハム、イサク、ヤコブと契󠄅約けいやくをむすびしがためにイスラエルをめぐみ之これを憐あはれみこれを眷かへりみたまひ之これを滅ほろぼすことを好このまず尙なほこれをその前󠄃まへより棄すてはなちたまはざりき 24 スリアの王わうハザエルつひに死しにてその子こベネハダデこれに代かはりて王わうとなれり 25 是こゝにおいてヨアズの子こヨアシはその父󠄃ちゝヨアハズがハザエルに攻取せめとられたる邑々まち〳〵をハザエルの子こベネハダデの手てより取とりかへせり即すなはちヨアシは三次󠄄みたびかれを敗やぶりてイスラエルの邑々まち〳〵を取とりかへしぬ

第14章

1 イスラエルの王わうヨアハズの子こヨアシの二年ねんにユダの王わうヨアシの子こアマジヤ王わうとなれり 2 彼かれは王わうとなれる時とき二十五歳さいにして二十九年ねんの間あひだエルサレムにて世よを治をさめたりその母はゝはエルサレムの者ものにして名なをヱホアダンと云いへり 3 アマジヤはヱホバの善よしと見みたまふ事ことをなしたりしがその先祖せんぞダビデのごとくはあらざりき彼かれは萬すべての事ことにおいて其その父󠄃ちゝヨアシがなせしごとくに事ことをなせり 4 惟たゞ崇邱たかきところはのぞかずしてあり民たみはなほその崇邱たかきところにおいて犧牲いけにへをささげ香かうを焚たけり 5 彼かれは國くにのその手てに堅かたくたつにおよびてその父󠄃ちゝ王わうを弑しいせし臣僕しもべ等らを殺ころしたりしが 6 その弑殺しさつ人にんの子女こども等らは殺ころさざりき是これはモーセの律法おきての書しよに記しるされたる所󠄃ところにしたがへるなり即すなはちヱホバ命めいじて言いひたまはく子女こどもの故ゆゑによりて父󠄃ちゝを殺ころすべからず父󠄃ちゝの故ゆゑによりて子女こどもを殺ころすべからず人ひとはみなその身みの罪つみによりて死しぬべき者ものなりと
 703㌻ 
7 アマジヤまた鹽しほの谷たににおいてエドミ人びと一萬まんを殺ころせり亦またセラを攻せめとりてその名なをヨクテルとなづけしが今日こんにちまで然しかり〘541㌻〙

8 かくてアマジヤ使󠄃者つかひをヱヒウの子こヨアハズの子こなるイスラエルの王わうヨアシにおくりて來きたれ我儕われらたがひに面かほをあはせんと言いひしめければ 9 イスラエルの王わうヨアシ、ユダの王わうアマジヤに言いひおくりけるはレバノンの荊棘いばらかつてレバノンの香柏かうはくに汝なんぢの女子むすめをわが子この妻つまにあたへよと言いひおくりたることありしにレバノンの野や獸じうとほりてその荊棘いばらを踏ふみたふせり 10 汝なんぢは大おほいにエドムに勝󠄃かちたれば心こゝろに誇ほこるその榮譽ほまれにやすんじて家いへに居をれなんぞ禍わざはひを惹ひきおこして自己おのれもユダもともに亡ほろびんとするやと

11 然しかるにアマジヤ聽きくことをせざりしかばイスラエルの王わうヨアシのぼり來きたれり是こゝにおいて彼かれとユダの王わうアマジヤはユダのベテシメシにてたがひに面かほをあはせたりしが 12 ユダ、イスラエルに敗やぶられて各人おの〳〵その天てん幕まくに逃󠄄にげかへりぬ 13 是こゝにおいてイスラエルの王わうヨアシはアジアの子こヨアシの子こなるユダの王わうアマジヤをベテシメシに擒とらへ而しかしてエルサレムにいたりてエルサレムの石垣いしがきをエフライムの門もんより隅すみの門もんまで凡おほよそ四百ひやくキユビトを毀こぼち 14 またヱホバの家いへと王わうの家いへの庫くらとにあるところの金銀きんぎんおよび諸もろ〳〵の器うつはをとりかつ人ひと質じちをとりてサマリヤにかへれり

15 ヨアシがなしたるその餘ほかの行爲わざとその能ちからおよびそのイスラエルの王わうアマジヤと戰たゝかひし事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 16 ヨアシその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてイスラエルの王等わうたちとともにサマリヤに葬はうむられその子こヤラベアムこれに代かはりて王わうとなれり
 704㌻ 

17 ヨアシの子こなるユダの王わうアマジヤはヨアハズの子こなるイスラエルの王わうヨアシの死しにてより後のちなほ十五年ねん生存いきながらへたり 18 アマジヤのその餘ほかの行爲わざはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 19 茲こゝにエルサレムにおいて黨たうをむすびて彼かれに敵てきする者ものありければ彼かれラキシに逃󠄄にげゆきけるにその人々ひと〴〵ラキシに人ひとをやりて彼かれを彼處そこに殺ころさしめたり 20 人衆ひと〴〵かれを馬むまに負󠄅おはせてもちきたりエルサレムにおいてこれをその先祖せんぞ等たちとともにダビデの邑まちに葬はうむりぬ 21 ユダの民たみみなアザリヤをとりて王わうとなしてその父󠄃ちゝアマジヤに代かはらしめたり時ときに年とし十六なりき 22 彼かれエラテの邑まちを建󠄄たててこれを再ふたゝびユダに歸きせしめたり是これはかの王わうがその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりし後のちなりき〘542㌻〙

23 ユダの王わうヨアシの子こアマジヤの十五年ねんにイスラエルの王わうヨアシの子こヤラベアム、サマリヤにおいて王わうとなり四十一年ねん位くらゐにありき 24 彼かれはヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなし夫かのイスラエルに罪つみを犯をかさしめたるネバテの子こヤラベアムの罪つみに離はなれざりき 25 彼かれハマテの入いり處くちよりアラバの海うみまでイスラエルの邊󠄎境さかひを恢󠄅復とりかへせりイスラエルの神かみヱホバがガテヘペルのアミツタイの子こなるその僕しもべ預言者よげんしやヨナによりて言いひたまひし言ことばのごとし 26 ヱホバ、イスラエルの艱難なやみを見みたまふに其それは甚はなはだ苦くるしかり即すなはち繋つながれたる者ものもあらず繋つながれざる者ものもあらず又󠄂またイスラエルを助たすくる者ものもあらず 27 ヱホバは我われイスラエルの名なを天あめが下したに塗けし抹さらんとすと言いひたまひしこと無なし反かへつてヨアシの子こヤラベアムの手てをもてこれを拯すくひたまへり

28 ヤラベアムのその餘ほかの行爲わざとその凡すべてなしたる事ことおよびその戰爭いくさをなせし能ちからその昔さきにユダに屬ぞくし居ゐたることありしダマスコとハマテを再ふたゝびイスラエルに歸きせしめたる事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさるるにあらずや 29 ヤラベアムその先祖せんぞたるイスラエルの王等わうたちとともに寢ねむりその子こザカリヤこれに代かはりて王わうとなれり
 705㌻ 

第15章

1 イスラエルの王わうヤラベアムの二十七年ねんにユダの王わうアマジヤの子こアザリヤ王わうとなれり 2 彼かれは王わうとなれる時ときに十六歳さいなりしが五十二年ねんの間あひだエルサレムにおいて世よを治をさめたりその母はゝはエルサレムの者ものにして名なをヱコリアと言いふ 3 彼かれはヱホバの善よしと見みたまふ事ことをなし萬すべての事ことにおいてその父󠄃ちゝアマジヤがなしたるごとく行おこなへり 4 惟たゞ崇邱たかきところは除のぞかずしてあり民たみは尙なほその崇邱たかきところの上うへに犧牲いけにへをささげ香かうをたけり 5 ヱホバ王わうを擊うちたまひしかばその死しぬる日ひまで癩らい病びやう人にんとなり別はなれ殿どのに居をりぬその子こヨタム家いへの事ことを管理つかさどりて國くにの民たみを審判󠄄さばけり 6 アザリヤのその餘ほかの行爲わざとその凡すべてなしたる事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 7 アザリヤその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりたればこれをダビデの邑まちにその先祖せんぞ等たちとともに葬はうむれりその子こヨタムこれに代かはりて王わうとなる

8 ユダの王わうアザリヤの三十八年ねんにヤラベアムの子こザカリア、サマリヤにおいてイスラエルの王わうとなれりその間あひだは六む月󠄃つき 9 彼かれその先祖せんぞ等たちのなせしごとくヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくを爲なし夫かのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみに離はなれざりき 10 茲こゝにヤベシの子こシヤルム黨たうをむすびて之これに敵てきし民たみの前󠄃まへにてこれを擊うちて弑しいしこれに代かはりて王わうとなれり〘543㌻〙 11 ザカリヤのその餘ほかの行爲わざはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよに記しるさる 12 ヱホバのヱヒウに吿つげたまひし言ことばは是これなり云いはく汝なんぢの子孫しそんは四よ代だいまでイスラエルの位くらゐに坐ざせんと果はたして然しかり

13 ヤベシの子こシヤルムはユダの王わうウジヤの三十九年ねんに王わうとなりサマリヤにおいて一月󠄃ひとつきの間あひだ王わうたりき 14 時ときにガデの子こメナヘム、テルザより上のぼりでサマリヤに來きたりヤベシの子こシヤルムをサマリヤに擊うちてこれを殺ころし之これにかはりて王わうとなれり 15 シヤルムのその餘ほかの行爲わざとその徒と黨たうをむすびし事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさる 16 その後のちメナヘム、テルザよりいたりてテフサとその中うちにあるところの者ものおよびその四周󠄃まはりの地ちを擊うてり即すなはちかれら己おのれがために開ひらくことをせざりしかばこれを擊うちてその中うちの孕はらみ婦󠄃をんなをことごとく刳剔さきたり
 706㌻ 

17 ユダの王わうアザリヤの三十九年ねんにガデの子こメナヘム、イスラエルの王わうとなりサマリヤにおいて十年ねんの間あひだ世よを治をさめたり 18 彼かれヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなし彼かのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみに生涯しやうがい離はなれざりき 19 茲こゝにアツスリヤの王わうブルその地ちに攻せめきたりければメナヘム銀ぎん一千せんタラントをブルにあたへたり是こは彼かれをして己おのれを助たすけしめ是これによりて國くにを己おのれの手てに堅かたく立たゝしめんとてなりき 20 即すなはちメナヘムその銀ぎんをイスラエルの諸すべての大富者おほがねもちに課くわしその人々ひと〴〵に各々おの〳〵銀ぎん五十シケルを出いださしめてこれをアツスリヤの王わうにあたへたり是こゝをもてアツスリヤの王わうは歸かへりゆきて國くにに止とゞまることをせざりき 21 メナヘムのその餘ほかの行爲わざとその凡すべてなしたる事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 22 メナヘムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりその子こペカヒヤこれに代かはりて王わうとなれり

23 メナヘムの子こペカヒヤはユダの王わうアザリヤの五十年ねんにサマリヤにおいてイスラエルの王わうとなり二年ねんのあひだ位くらゐにありき 24 彼かれヱホバの目めのまへに惡あくをなし彼かのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみに離はなれざりき 25 茲こゝにその將しやう官くわんなるレマリヤの子こペカ黨たうをむすびて彼かれに敵てきしサマリヤにおいて王わうの家いへの奧おくの室しつにこれを擊うちころしアルゴブとアリエをもこれとともに殺ころせり時ときにギレアデ人びと五十人にんペカとともにありきペカすなはち彼かれをころしかれに代かはりて王わうとなれり 26 ベカヒヤのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさる〘544㌻〙

27 レマリヤの子こペカはユダの王わうアザリヤの五十二年ねんにサマリヤに於おいてイスラエルの王わうとなり二十年ねん位くらゐにありき 28 彼かれヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなし彼かのイスラエルに罪つみををかさせたるネバテの子こヤラベアムの罪つみにはなれざりき
 707㌻ 

29 イスラエルの王わうペカの代よにアツスリヤの王わうテグラテビレセル來きたりてイヨン、アベルベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾルおよびギレアデならびにナフタリの全󠄃地ぜんちガリラヤを取とりその人々ひと〴〵をアツスリヤに擄とらへうつせり 30 茲こゝにエラの子こホセア黨たうをむすびてレマリヤの子こペカに敵てきしこれを擊うちて殺ころしこれに代かはりて王わうとなれり是これはウジヤの子こヨタムの二十年ねんにあたれり 31 ペカのその餘ほかの行爲わざとその凡すべてなしたる事ことはイスラエルの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさる

32 レマリヤの子こイスラエルの王わうペカの二年ねんにウジヤの子こユダの王わうヨタム王わうとなれり 33 彼かれは王わうとなれる時とき二十五歳さいなりしがヱルサレムにて十六年ねん世よを治をさめたり母はゝはザドクの女むすめにして名なをヱルシヤといへり 34 彼かれはヱホバの目めにかなふ事ことをなし凡すべてその父󠄃ちゝウジヤのなしたるごとくにおこなへり 35 惟たゞ崇邱たかきところは除のぞかずしてあり民たみなほその崇邱たかきところの上うへに犧牲いけにへをささげ香かうを焚たけり彼かれヱホバの家いへの上うへの門もんを建󠄄たてたり 36 ヨタムのその餘ほかの行爲わざとその凡すべてなしたる事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 37 當時そのころヱホバ、スリアの王わうレヂンとレマリヤの子こペカをユダにせめきたらせたまへり 38 ヨタムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてその父󠄃ちゝダビデの邑まちにその先祖せんぞ等たちとともに葬はうむられその子こアハズこれに代かはりて王わうとなれり

第16章

1 レマリヤの子こペカの十七年ねんにユダの王わうヨタムの子こアハズ王わうとなれり 2 アハズは王わうとなれる時とき二十歳さいにしてエルサレムにおいて十六年ねん世よを治をさめたりしがその神かみヱホバの善よしと見みたまふ事ことをその父󠄃ちゝダビデのごとくは行おこなはざりき 3 彼かれはイスラエルの王等わうたちの道󠄃みちにあゆみまたその子こに火ひの中うちを通󠄃とほらしめたり是これはヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひし異邦󠄆人いはうじんのおこなふところの憎にくむべき事ことにしたがへるなり
 708㌻ 
4 彼かれは崇邱たかきところの上うへ丘をかの上うへ一切すべての靑あを木きの下したに犧牲いけにへをささげ香かうをたけり

5 この頃ころスリアの王わうレヂンおよびレマリヤの子こなるイスラエルの王わうペカ、エルサレムにせめのぼりてアハズを圍󠄃かこみけるが勝󠄃かつことを得えざりき 6 この時ときにあたりてスリアの王わうレヂン復またエラテをスリアに歸きせしめユダヤ人びとをエラテより逐󠄃おひいだせり而しかしてスリア人びとエラテにきたりて其處そこに住󠄃すみ今日こんにちにいたる〘545㌻〙

7 是こゝにおいてアハズ使󠄃者つかひをアツスリヤの王わうテグラテピレセルにつかはして言いはしめけるは我われは汝なんぢの臣僕しもべ汝なんぢの子こなりスリアの王わうとイスラエルの王わうと我われに攻せめかかりをれば請󠄃こふ上のぼりきたりてかれらの手てより我われを救すくひいだしたまへと 8 アハズすなはちヱホバの家いへと王わうの家いへの庫くらとにあるところの銀ぎんと金きんをとりこれを禮物おくりものとしてアツスリヤの王わうにおくりしかば 9 アツスリヤの王わうかれの請󠄃こひを容いれたりアツスリヤの王わうすなはちダマスコに攻せめのぼりて之これをとりその民たみをキルに擄とらへうつしまたレヂンを殺ころせり

10 かくてアハズはアツスリヤの王わうテグラテピレセルに會あはんとてダマスコにゆきけるがダマスコにおいて一箇ひとつの祭壇さいだんを見みたればアスス王わうその祭壇さいだんの工作つくりにしたがひて委くはしくこれが圖󠄃づと式樣ひながたを制こしらへて祭司さいしウリヤにこれをおくれり 11 是こゝにおいて祭司さいしウリヤはアハズ王わうがダマスコよりおくりたる所󠄃ところにてらして一箇ひとつの祭壇さいだんをつくりアハズ王わうがダマスコより來きたるまでにこれを作つくりおけり 12 茲こゝに王わうダマスコより歸かへりてその祭壇さいだんを見み壇だんにちかよりてこれに上のぼり 13 壇だんの上うへに燔祭はんさいと素祭そさいを焚やき灌くわん祭さいをそそぎ酬恩祭しうおんさいの血ちを灑そゝげり 14 彼かれまたヱホバの前󠄃まへなる銅あかがねの壇だんを家みやの前󠄃まへより移うつせり即すなはちこれをかの新あたらしき壇だんとヱホバの家いへの間あひだより移うつしてかの壇だんの北きたの方かたに置すゑたり 15 而しかしてアハズ王わう祭司さいしウリヤに命めいじて言いふ朝󠄃あさの燔祭はんさい夕ゆふの素祭そさいおよび王わうの燔祭はんさいとその素祭そさいならびに國くに中ぢうの民たみの燔祭はんさいとその素祭そさいおよび灌祭くわんさいはこの大おほいなる壇だんの上うへに焚やくべし又󠄂またこの上うへに燔祭はんさいの牲ものの血ちと犧牲いけにへの物ものの血ちをすべて灑そゝぐべし彼かの銅あかがねの壇だんの事ことはなほ考かんがふるあらん
 709㌻ 
16 祭司さいしウリヤすなはちアハズ王わうのすべて命めいじたるごとくに然しかなせり

17 またアハズ王わう臺だいの邊󠄎ふちを削󠄃けづりて洗盤たらひをその上うへよりうつしまた海うみをその下したなる銅あかがねの牛うしの上うへよりおろして石いしの座ざの上うへに置すゑ 18 また家みやに造󠄃つくりたる安息日あんそくにち用ようの遊󠄃廊いうらうおよび王わうの外そとの入いり口くちをアツスリヤの王わうのためにヱホバの家いへの中うちに變へんじたり 19 アハズのなしたるその餘ほかの行爲わざはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 20 アハズその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてダビデの邑まちにその先祖せんぞ等たちとともに葬はうむられその子こヒゼキヤこれにかはりて王わうとなれり

第17章

1 ユダの王わうアハズの十二年ねんにエラの子こホセア王わうとなりサマリヤにおいて九年ねんイスラエルを治をさめたり〘546㌻〙 2 彼かれヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせしがその前󠄃さくにありしイスラエルの王等わうたちのごとくはあらざりき 3 アッスリヤの王わうシヤルマネセル攻せめのぼりたればホセアこれに臣しん服󠄃ぷくして貢みつぎを納󠄃いれたりしが 4 アッスリヤの王わうつひにホセアの己おのれに叛󠄃そむけるを見みたり其そは彼かれ使󠄃者つかひをエジプトの王わうソにおくり且かつ前󠄃まへに歳々とし〴〵なせしごとくに貢みつぎをアッスリヤ王わうに納󠄃いれざりければなり是こゝにおいてアツスリヤの王わうかれを禁錮おしこめて獄ひとやにおけり 5 すなはちアッスリヤの王わうせめ上のぼりて國こく中ちうを遍󠄃あまねくゆきめぐりサマリヤにのぼりゆきて三年ねんが間あひだこれをせめ圍󠄃かこみたりしが 6 ホセアの九年ねんにおよびてアッスリヤの王わうつひにサマリヤを取とりイスラエルをアッスリヤに擄とらへゆきてこれをハラとハボルとゴザン河がはの邊󠄎ほとりとメデアの邑々まち〳〵とにおきぬ

7 此事このことありしはイスラエルの子孫ひと〴〵己おのれをエジプトの地ちより導󠄃みちびきのぼりてエジプトの王わうパロの手てを脱はなれしめたるその神かみヱホバに對むかひて罪つみを犯をかし他ほかの神々かみ〴〵を敬うやまひ
 710㌻ 
8 ヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひし異邦󠄆人いはうじんの法度のりにあゆみ又󠄂またイスラエルの王等わうたちの設まうけし法度のりにあゆみたるに因よりてなり 9 イスラエルの子孫ひと〴〵義ただしからぬ事ことをもてその神かみヱホバを掩おほひかくしその邑々まち〳〵に崇邱たかきところをたてたり看守みはり臺だいより城󠄃しろにいたるまで然しかり 10 彼等かれら一切すべての高丘たかをかの上うへ一切すべての靑あを樹きの下したに偶像󠄃ぐうざうとアシラ像󠄃ざうを立たて 11 ヱホバがかれらの前󠄃まへより移うつしたまひし異邦󠄆人いはうじんのなせしごとくにその崇邱たかきところに香かうを焚たき又󠄂また惡あくを行おこなひてヱホバを怒いからせたり 12 ヱホバかれらに汝等なんぢらこれらの事ことを爲なすべからずと言いひおきたまひしに彼等かれら偶像󠄃ぐうざうに事つかふることを爲なせしなり 13 ヱホバ諸もろ〳〵の預言者よげんしや諸もろ〳〵の先見者せんけんしやによりてイスラエルとユダに見證あかしをたて汝等なんぢら飜ひるがへりて汝なんぢらの惡あしき道󠄃みちを離はなれわが誡命いましめわが法度のりをまもり我わが汝等なんぢらの先祖せんぞ等らに命めいじまたわが僕しもべなる預言者よげんしや等らによりて汝等なんぢらに傳つたへし法おきてに率󠄃由かなふやうにせよと言いひたまへり 14 然しかるに彼かれら聽きくことをせずしてその項うなじを强こはくせり彼かれらの先祖せんぞ等らがその神かみヱホバを信しんぜずしてその項うなじを强こはくしたるが如ごとし 15 彼等かれらはヱホバの法度のりを棄すてヱホバがその先祖せんぞ等らと結むすびたまひし契󠄅約けいやくを棄すてまたその彼等かれらに見證あかししたまひし證言あかしを棄すて且かつ虛妄むなしき物ものにしたがひて虛浮󠄃むなしくなりまたその周󠄃圍󠄃まはりなる異邦󠄆人いはうじんの跡あとをふめり是これはヱホバが是かくのごとくに事ことをなすべからずと彼かれらに命めいじ給たまひし者ものなり 16 彼等かれらその神かみヱホバの諸もろ〳〵の誡命いましめを遺󠄃すて己おのれのために二ふたつの牛うしの像󠄃ざうを鑄いなし又󠄂またアシラ像󠄃ざうを造󠄃つくり天てんの衆群しうぐんを拜をがみ且かつバアルに事つかへ 17 またその子息むすこ息女むすめに火ひの中なかを通󠄃とほらしめ卜筮うらなひおよび禁厭まじなひをなしヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくを爲なすことに身みを委ゆだねてその怒いかりを惹起󠄃ひきおこせり〘547㌻〙 18 是こゝをもてヱホバ大おほいにイスラエルを怒いかりこれをその前󠄃まへより除のぞきたまひたればユダの支󠄂派󠄄わかれのほかは遺󠄃のこれる者ものなし
 711㌻ 

19 然しかるにユダもまたその神かみヱホバの誡命いましめを守まもらずしてイスラエルの立たてたる法度のりにあゆみたれば 20 ヱホバ、イスラエルの苗裔すゑぞことごとく棄すてこれを苦くるしめこれをその掠かすむる者ものの手てに付わたして遂󠄅つひにこれをその前󠄃まへより打うちすてたまへり 21 すなはちイスラエルをダビデの家いへより裂さきはなしたまひしかばイスラエル、ネバテの子こヤラベアムを王わうとなせしにヤラベアム、イスラエルをしてヱホバにしたがふことを止やめしめてこれに大おほいなる罪つみを犯をかさしめたりしが 22 イスラエルの子孫ひと〴〵はヤラベアムのなせし諸もろ〳〵の罪つみをおこなひつづけてこれに離はなるることなかりければ 23 遂󠄅つひにヱホバその僕しもべなる諸もろ〳〵の預言者よげんしやをもて言いひたまひしごとくにイスラエルをその前󠄃まへより除のぞきたまへりイスラエルはすなはちその國くによりアッスリヤにうつされて今日こんにちにいたる

24 斯かくてアッスリヤの王わうバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムより人ひとをおくりてこれをイスラエルの子孫ひと〴〵の代かはりにサマリヤの邑々まち〳〵に置おきければその人々ひと〴〵サマリヤを有󠄃たもちてその邑々まち〳〵に住󠄃すみしが 25 その彼處かしこに始はじめて住󠄃すめる時ときには彼等かれらヱホバを敬うやまふことをせざりしかばヱホバ獅子しゝをかれらの中うちに送󠄃おくりたまひてその獅子しゝかれら若干そこばくを殺ころせり 26 是これによりてアッスリヤの王わうに吿つげて言いふ汝なんぢが移うつしてサマリヤの邑々まち〳〵におきたまひしかの國々くに〴〵の民たみはこの地ちの神かみの道󠄃みちを知しらざるが故ゆゑにその神かみ獅子しゝをかれらの中うちにおくりて獅子しゝかれらを殺ころせり是こは彼等かれらその國くにの神かみの道󠄃みちを知しらざるに因よりてなり

27 アッスリヤの王わうすなはち命めいを下くだして言いふ汝等なんぢらが彼處かしこより曳ひききたりし祭司さいし一人ひとりを彼處かしこに携つれゆけ即すなはち彼かれをして彼處かしこにいたりて住󠄃すましめその國くにの神かみの道󠄃みちをその人々ひと〴〵に敎をしへしめよと 28 是こゝに於おいてサマリヤより移うつされし祭司さいし一人ひとりきたりてベテルに住󠄃すみヱホバの敬うやまふべき事ことをかれらに敎をしへたり 29 その民たみはまた各々おの〳〵自分󠄃おのれ自分󠄃おのれの神々かみ〴〵を造󠄃つくりてこれをかのサマリア人びとが造󠄃つくりたる諸もろ〳〵の崇邱たかきところに安置あんちせり民たみみなその住󠄃すめる邑々まち〳〵において然しかなしぬ
 712㌻ 
30 即すなはちバビロンの人々ひと〴〵はスコテペノテを作つくりクタの人々ひと〴〵はネルガルを作つくりハマテの人々ひと〴〵はアシマを作つくり 31 アビ人びとはニブハズとタルタクを作つくりセパルワイ人びとは其その子女こどもを火ひに焚やきてセパルワイムの神かみアデランメルクおよびアナンメルクに奉さゝげたり 32 彼かれら又󠄂またヱホバを敬うやまひ凡俗よのつねの民たみをもて崇邱たかきところの祭司さいしとなしたれば其人そのひとこれがために崇邱たかきところに家々いへ〳〵にて職務つとめをなせり〘548㌻〙 33 斯かくその人々ひと〴〵ヱホバを敬うやまひたりしが亦またその携たづさへ出いだされし國々くに〴〵の風俗ならはしにしたがひて自己おのれ自己おのれの神々かみ〴〵に事つかへたり

34 今日こんにちにいたるまで彼等かれらは前󠄃さきの習󠄃俗ならはしにしたがひて事ことをなしヱホバを敬うやまはず彼等かれらの法度のりをも例典さだめをも行おこなはず又󠄂またヱホバがイスラエルを名なづけたまひしヤコブの子孫しそんに命めいじたまひし律法おきてをも誡命いましめをも行おこなはざるなり 35 昔むかしヱホバこれと契󠄅約けいやくをたてこれに命めいじて言いひたまひけらく汝等なんぢらは他ほかの神かみを敬うやまふべからずまたこれを拜をがみこれに事つかへこれに犧牲いけにへをささぐべからず 36 只たゞ大おほいなる能ちからをもて腕うでを伸のべて汝等なんぢらをエジプトの地ちより導󠄃みちびき上のぼりしヱホバをのみ汝等なんぢら敬うやまひこれを拜をがみこれにこれに犧牲いけにへをささぐべし 37 またその汝等なんぢらのために錄しるしたまへる法度のりと例典さだめと律法おきてと誡命いましめを汝等なんぢら謹つゝしみて恒つねに守まもるべし他ほかの神々かみ〴〵を敬うやまふべからず 38 我わが汝等なんぢらとむすびし契󠄅約けいやくを汝等なんぢら忘󠄃わするべからず又󠄂また他ほかの神々かみ〴〵を敬うやまふべからず 39 只たゞ汝なんぢらの神かみヱホバを敬うやまふべし彼かれなんぢらをその諸もろ〳〵の敵てきの手てより救すくひいださん 40 然しかるに彼等かれらは聽きくことをせずしてなほ前󠄃さきの習󠄃俗ならはしにしたがひて事ことを行おこなへり 41 偖さてこの國々くに〴〵の民たみは斯かくヱホバを敬うやまひまたその雕きざめる像󠄃ざうに事つかへたりしがその子こも孫まごも共ともに然しかりその先祖せんぞのなせしごとくに今日こんにちまでも然しかなすなり

第18章

1 イスラエルの王わうエラの子こホセアの三年ねんにユダの王わうアハズの子こヒゼキア王わうとなれり 2 彼かれは王わうとなれる時とき二十五歳さいにしてエルサレムにて二十九年ねん世よををさめたりその母はゝはザカリヤの女むすめにして名なをアビといへり
 713㌻ 
3 ヒゼキヤはその父󠄃ちゝダビデの凡すべてなせしごとくヱホバの善よしと見みたまふ事ことをなし 4 崇邱たかきところを除のぞき偶像󠄃ぐうざうを毀こぼちアシラ像󠄃ざうを斫きりたふしモーセの造󠄃つくりし銅あかがねの蛇へびを打うち碎くだけりこの時ときまでイスラエルの子孫ひと〴〵その蛇へびにむかひて香かうを焚たきたればなり人々ひと〴〵これをネホシタン(銅どう物ぶつ)と稱󠄄よびなせり 5 ヒゼキヤはイスラエルの神かみヱホバを賴たのめり是こゝをもて彼かれの後あとにも彼かれの先さきにもユダの諸もろ〳〵の王等わうたちの中うちに彼かれに如しくものなかりき 6 即すなはち彼かれは固かたくヱホバに身みをよせてこれに從したがふことをやめずヱホバがモーセに命めいじたまひしその誡命いましめを守まもれり 7 ヱホバ彼かれとともに在いましたれば彼かれはその往󠄃ゆくところにて凡すべて利達󠄃さいはひを得えたり彼かれはアッスリヤの王わうに叛󠄃そむきてこれに事つかへざりき 8 彼かれペリシテ人びとを擊うち敗やぶりてガザにいたりその境さかひに達󠄃たつし看守みはり臺だいより城󠄃しろにまで及およべり

9 ヒゼキヤ王わうの四年ねんすなはちイスラエルの王わうエラの子こホセアの七年ねんにアッスリヤの王わうシヤルマネセル、サマリヤに攻せめのぼりてこれを圍󠄃かこみけるが〘549㌻〙 10 三年ねんの後のちつひに之これを取とれりサマリヤの取とられしはヒゼキヤの六年ねんにしてイスラエルの王わうホセアの九年ねんにあたる 11 アッスリヤの王わうイスラエルをアッスリヤに擄とらへゆきてこれをハラとゴザン河がはの邊󠄎ほとりとメデアの邑々まち〳〵におきぬ 12 是こは彼等かれらその神かみヱホバの言ことばに遵󠄅したがはずその契󠄅約けいやくを破やぶりヱホバの僕しもべモーセが凡すべて命めいじたる事ことをやぶりこれを聽きくことも行おこなふこともせざるによりてなり

13 ヒゼキヤ王わうの十四年ねんにアッスリヤの王わうセナケリブ攻せめのぼりてユダの諸もろ〳〵の堅かたき邑まちを取とりければ 14 ユダの王わうヒゼキヤ人ひとをラキシにつかはしてアッスリヤの王わうにいたらしめて言いふ我われ過󠄃あやまてり我われを離はなれて歸かへりたまへ汝なんぢが我われに蒙かうむらしむる者ものは我われこれを爲なすべしとアッスリヤの王わうすなはち銀ぎん三百びやくタラント金きん三十タラントをユダの王わうヒゼキヤに課くわしたり
 714㌻ 
15 是こゝにおいてヒゼキヤ、ヱホバの家いへと王わうの家いへの庫くらとにあるところの銀ぎんをことごとく彼かれに與あたへたり 16 此時このときユダの王わうヒゼキヤまた己おのれが金きんを著きせたりしヱホバの宮みやの戶とおよび柱󠄃はしらを剝はぎてこれをアッスリヤの王わうに與あたへたり 17 アッスリヤの王わうまたタルタン、ラブサリスおよびラブシヤケをしてラキシより大軍たいぐんをひきゐてエルサレムにむかひてヒゼキヤ王わうの所󠄃ところにいたらしめたればすなはち上のぼりてエルサレムにきたれり彼等かれら則すなはち上のぼり來きたり漂布さらし場ばの大路おほぢに沿󠄄そへる上かみの池塘ためいけの水すゐ道󠄃だうの邊󠄎ほとりにいたりて立たてり 18 而しかして彼等かれら王わうを呼よびたればヒルキヤの子こなる宮內くない卿きやうエリアキム書記しよき官くわんセブナおよびアサフの子こなる史󠄃官しくわんヨア出いできたりて彼等かれらに詣いたりけるに

19 ラブシヤケこれに言いひけるは汝等なんぢらヒゼキヤに言いふべし大だい王わうアッスリヤの王わうかく言いひたまふ此この汝なんぢが賴たのむところの者ものは何なにぞや 20 汝なんぢ戰爭いくさをなすの謀計はかりごとと勇󠄃力ちからとを言いふも只たゞこれ口くちの先さきの言語ことばたるのみ誰たれを恃たのみて我われに叛󠄃そむくことをせしや 21 視みよ汝なんぢは折をれかかれる葦あしの杖つゑなるエジプトを賴たのむ其それは人ひとの其それに倚よるあればすなはちその手てを刺さしとほすなりエジプトの王わうパロは凡すべてこれを賴たのむ者ものに斯かくあるなり 22 汝等なんぢらあるひは我われはわれらの神かみヱホバを賴たのむと我われに言いはん彼かれはヒゼキヤがその崇邱たかきところと祭壇さいだんとを除のぞきたる者ものにあらずやまた彼かれはユダとエルサレムに吿つげて汝等なんぢらはエルサレムに於おいてこの壇だんの前󠄃まへに禱拜をがみをなすべしと言いひしにあらずや 23 然されば請󠄃こふわが主君きみアッスリヤの王わうに約やくをなせ汝なんぢもし人ひとを乘のらしむることを得えば我われ馬むま二千せん匹󠄃びきを汝なんぢにあたへん 24 汝なんぢいかにしてか吾わが主君きみの諸しよ臣しんの中うちの最もつとも微ちひさき一いつ將しやうだにも退󠄃しりぞくることを得えん汝なんぢなんぞエジプトを賴たのみて兵へい車しやと騎兵きへいをこれに仰あふがんとするや〘550㌻〙 25 また我われとても今いまヱホバの旨むねによらずして比この處ところを滅ほろぼしに上のぼれるならんやヱホバ我われに此この處ところに攻せめのぼりてこれを滅ほろぼせと言いひたり

26 時ときにヒルキヤの子こエリアキムおよびセブナとヨア、ラダシヤケにいひけるは請󠄃こふスリアの語ことばをもて僕しもべ等らに語かたりたまへ我儕われらこれを識しるなり石垣いしがきの上うへにをる民たみの聞きけるところにてユダヤ語ことばをもて我儕われらに言談ものいひたまふなかれ
 715㌻ 
27 ラブシヤケかれらに言いふわが君きみ唯たゞ我われを汝なんぢの主きみと汝なんぢとにつかはして此この言ことばをのべしめたまふならんや亦また石垣いしがきの上うへに坐ざする人々ひと〴〵にも我われを遣󠄃つかはして彼等かれらをして汝等なんぢらとともに自己おのれの便󠄃べん溺できを食󠄃くらひ且かつ飮のむにいたらしめんとしたまふにあらずやと 28 而しかしてラブシヤケ起󠄃たちあがりユダヤ語ことばをもて大おほ聲ごゑに呼よばはり言ことをいだして曰いひけるは汝等なんぢら大だい王わうアッスリヤの王わうの言ことばを聽きけ 29 王わうかく言いひたまふ汝等なんぢらヒゼキヤに欺あざむかるるなかれ彼かれは汝等なんぢらをわが手てより救すくひいだすことをえざるなり 30 ヒゼキヤがヱホバかならず我われらを救すくひたまはん此この邑まちはアッスリヤの王わうの手てに陷おちいらじと言いひて汝なんぢらにヱホバを賴たのましめんとするとも 31 汝等なんぢらヒゼキヤの言ことばを聽きくなかれアッスリヤの王わうかく言いひたまふ汝等なんぢら約やくをなして我われに降󠄄くだれ而しかして各人おの〳〵おのれの葡萄ぶだうの樹きの果みを食󠄃くらひ各人おの〳〵おのれの無花果いちじくの樹きの果みをくらひ各人おの〳〵おのれの井水ゐどみずを飮のめよ 32 我われ來きたりて汝等なんぢらを一ひとつの國くにに携つれゆかん其そは汝儕なんぢらの國くにのごとき國くに穀こくと酒さけのある地ちパンと葡萄園ぶだうばたけのある地ち油あぶらの出いづる橄欖かんらんと蜜みつとのある地ちなり汝等なんぢらは生いくることを得えん死しぬることあらじヒゼキヤ、ヱホバ我儕われらを救すくひたまはんと言いひて汝なんぢらを勸󠄂すすむるともこれを聽きくなかれ 33 國々くに〴〵の神かみの中うち執いづれかその國くにをアッスリヤの王わうの手てより救すくひたりしや 34 ハマテおよびアルパデの神々かみ〴〵は何處いづくにあるセパルワイム、ヘナおよびアワの神々かみ〴〵は何處いづくにあるやサマリヤをわが手てより救すくひ出いだせし神々かみ〴〵あるや 35 國々くに〴〵の神かみの中うちにその國くにをわが手てより救すくひいだせし者ものありしや然さればヱホバいかでかエルサレムをわが手てより救すくひいだすことを得えんと

36 然されども民たみは默もくして一ひと言こともこれに應こたへざりき其そは王わう命めいじてこれに應こたふるなかれと言いひおきたればなり 37 かくてヒルキヤの子こなる宮內くない卿きやうエリアキム書記しよき官くわんセブナおよびアサの子こなる史󠄃官しくわんヨアその衣ころもをさきてヒゼキヤの許もとにいたりラブシヤケの言ことばをこれに吿つげたり〘551㌻〙
 716㌻ 

第19章

1 ヒゼキヤ王わうこれを聞きゝてその衣ころもを裂さき麻󠄃布あさぬのを身みにまとひてヱホバの家いへに入いり 2 宮內くない卿きやうエリアキムと書記しよき官くわんセブナと祭司さいしの中うちの長老等としよりたちとに麻󠄃布あさぬのを衣きせてこれをアモツの子こ預言者よげんしやイザヤに遣󠄃つかはせり 3 彼等かれらイザヤに言いひけるはヒゼキヤかく言いふ今日けふは艱難なやみの日ひ懲罰こらしめの日ひ打うち棄すてらるる日ひなり嬰孩こどもすでに產さん門もんにいたりて之これを產うみいだす力ちからなき也なり 4 ラブシヤケその主君きみなるアッスリヤの王わうに差遣󠄃つかはされて來きたり活いける神かみを謗そしる汝なんぢの神かみヱホバあるひは彼かれの言ことばを聞きゝたまはん而しかして汝なんぢの神かみヱホバその聞きける言語ことばを責罰とがめたまふこともあらん然されば汝なんぢこの遺󠄃のこれる者ものの爲ために祈禱いのりをたてまつれと 5 ヒゼキヤ王わうの僕しもべ等らすなはちイザヤの許もとにいたりければ 6 イザヤかれらに言いひけるは汝等なんぢらの主君きみにかく言いふべしヱホバかく言いひたまふアッスリヤの王わうの臣僕しもべ等らが我われを謗そしるところの言ことばを汝なんぢ聞きゝて懼おそるるなかれ 7 我われかれの氣きをうつして風聲うはさを聞きゝて己おのれの國くににかへるにいたらしめん我われまた彼かれをして自己おのれの國くにに於おいて劍つるぎに斃たふれしむべしと

8 偖さてまたラブシヤケは歸かへりゆきてアッスリヤの王わうがリブナに戰爭たたかひをなしをるとこるに至いたれり其そは彼かれそのラキシを離はなれしを聞きゝたればなり 9 茲こゝにアッスリヤの王わうはエテオピアの王わうテルハカ汝なんぢに攻せめきたると言いふを聞きゝてまた使󠄃者つかひをヒゼキヤにつかはして言いはしむ 10 汝等なんぢらユダの王わうヒゼキヤに吿つげて言いふべし汝なんぢエルサレムはアッスリヤの王わうの手てに陷おちいらじと言いひて汝なんぢが賴たのむところの神かみに欺あざむかるるなかれ 11 汝なんぢはアッスリヤの王等わうたちが萬よろづの國々くに〴〵になしたるところの事ことを知しる即すなはちこれを滅ほろぼしつくせしなり然されば汝なんぢいかで救たすからんや 12 吾わが父󠄃等ちちたちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルのエデンの人々ひと〴〵等などを滅ほろぼせしがその國々くに〴〵の神かみこれを救すくひたりしや 13 ハマテの王わうアルバデの王わうセバルワイムの邑まちおよびヘナとアワの王等わうたちは何處いづくにあるや
 717㌻ 

14 ヒゼキヤ使󠄃者つかひの手てより書ふみを受うけてこれを讀よみヱホバの家いへにのぼりゆきてヱホバの前󠄃まへにこれを展開ひろげ 15 而しかしてヒゼキヤ、ヱホバの前󠄃まへに祈いのりて言いひけるはケルビムの間あひだにいますイスラエルの神かみヱホバよ世よの國々くに〴〵の中うちにおいて只たゞ汝なんぢのみ神かみにいます也なり汝なんぢは天地てんちを造󠄃つくりたまひし者ものにいます 16 ヱホバよ耳みゝを傾かたむけて聞きゝたまへヱホバよ目めを開ひらきて見みたまへセナケリブが活いける神かみを謗そしりにおくれる言語ことばを聞きゝたまへ 17 ヱホバよ誠󠄃まことにアッスリヤの王等わうたちは諸もろ〳〵の民たみとその國々くに〴〵を滅ほろぼし 18 又󠄂またその神々かみ〴〵を火ひになげいれたり其それ等らは神かみにあらず人ひとの手ての作つくれる者ものにして木ぼく石せきたればこれを滅ほろぼせしなり〘552㌻〙 19 今いまわれらの神かみヱホバよ願ねがはくは我われらをかれの手てより拯すくひいだしたまへ然しからば世よの國々くに〴〵皆みな汝なんぢヱホバのみ神かみにいますことを知しるにいたらん

20 茲こゝにアモツの子こイザヤ、ヒゼキヤに言いひつかはしけるはイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ汝なんぢがセナケリブの事ことにつきて我われに祈いのるところの事ことは我われこれを聽きけり 21 ヱホバが彼かれの事ことにつきて言いふところの言語ことばは是かくのごとし云いはく處女をとめなる女子むすめシオンは汝なんぢを藐視かろんじ汝なんぢを嘲󠄂あざける女子むすめエルサレムは汝なんぢにむかひて頭かしらを搖ふる 22 汝なんぢ誰たれを謗そしりかつ罵詈ののしりしや汝なんぢ誰たれにむかひて聲こゑをあげしや汝なんぢはイスラエルの聖󠄃者きよきものにむかひて汝なんぢの目めを高たかく擧あげたるなり 23 汝なんぢ使󠄃者つかひをもて主しゆを謗そしりて言いふ我われ夥多おびただき兵いくさ車ぐるまをひきゐて山々やま〳〵の嶺いただきにのぼりレバノンの奧おくにいたり長たけ高たかき香柏かうはくと美うるはしき松󠄃まつの樹きを斫きりたふす我われその境さかひの休息やすみ所󠄃どころにいたりその園そのの林はやしにいたる 24 我われは外よそ國ぐにの地ちをほりて水みづを飮のむ我われは足あしの跖うらをもてエジプトの河々かは〴〵をことごとくふみ涸からすなり

25 汝なんぢ聞きかずや昔むかしわれ之これを作なし古時いにしへよりわれ之これを定さだめたり今いまわれ之これをおこなふ即すなはち堅かたき邑々まち〳〵は汝なんぢのために坵墟あれあととなるなり 26 是こゝをもてそれらの中うちにすむ民たみは力ちから弱󠄃よわかり懼おそれかつ驚おどろくなり彼等かれらは野のの草くさのごとく靑菜󠄄あをなのごとく屋蓋やねの草くさのごとく枯かるる苗なへのごとし
 718㌻ 
27 汝なんぢの止とゞまると汝なんぢの出いづると汝なんぢの入いると汝なんぢの我われにむかひて怒いかりくるふとは我われの知しるところなり 28 汝なんぢの怒いかりくるふ事ことと汝なんぢの傲慢ほこるところの事こと上のぼりてわが耳みゝにいりたれば我われ圈わを汝なんぢの鼻はなにつけ轡くつわを汝なんぢの唇くちびるにほどこして汝なんぢを元もと來きし道󠄃みちへひきかへすべし

29 是これは汝なんぢにあたふる徴しるしなり即すなはち一年ねんは穭ひつぢぼを食󠄃くらひ第二年にねんめには又󠄂またその穭ひつぢぼを食󠄃くらふあらん第三年さんねんめには汝なんぢら稼まくことをし穡かることをし又󠄂また葡萄園ぶだうばたけをつくりてその果みを食󠄃くらふべし 30 ユダの家いへの逃󠄄のがれて遺󠄃のこれる者ものは復また根ねを下したに張はり實みを上うへに結むすばん 31 即すなはち殘餘のこれる者ものエルサレムより出いで逃󠄄避󠄃のがれたる者ものシオン山やまより出いできたらんヱホバの熱心ねつしんこれを爲なすべし 32 故ゆゑにヱホバ、アッスリヤの王わうの事ことをかく言いひたまふ彼かれは此この邑まちに入いらじ亦またこれに矢やを發はなつことあらず楯たてを之これにむかひて竪たつることあらず亦また壘るゐをきづきてこれを攻せめることあらじ 33 彼かれはその來きし路みちより歸かへらん此この邑まちにいることあらじヱホバこれを言いふ 34 我われわが身みのため又󠄂またわが僕しもべダビデのためにこの邑まちを守まもりてこれを救すくふべし

35 その夜よるヱホバの使󠄃者つかひいでてアッスリヤ人びとの陣ぢん營えいの者もの十八萬まん五千せん人にんを擊うちころせり朝󠄃あさ早はやく起󠄃おきいでて見みるに皆みな死しにて屍しかばねとなりをる〘553㌻〙 36 アッスリヤの王わうセナケリブすなはち起󠄃たちいで歸かへりゆきてニネベに居をりしが 37 その神かみニスロクの家いへにありて禮拜をがみをなしをる時ときにその子こアデランメレクとシヤレゼル劍つるぎをもてこれを殺ころせり而しかして彼等かれらはアララテの池いけに逃󠄄にげゆけり是こゝにおいてその子こエサルハドンこれに代かはりて王わうとなれり

第20章

1 當時そのころヒゼキヤ病やみて死しなんとせしことありアモツの子こ預言者よげんしやイザヤ彼かれの許もとにいたりて之これにいひけるはヱホバかく言いひたまふ汝なんぢ家いへの人ひとに遺󠄃ゐ命めいをなせ汝なんぢは死しなん生いくることを得えじと 2 是こゝにおいてヒゼキヤその面おもてを壁かべにむけてヱホバに祈いのり 3 嗚呼あゝヱホバよ願ねがはくは我わが眞󠄃實しんじつと一心いつしんをもて汝なんぢの前󠄃まへにあゆみ汝なんぢの目めに適󠄄かなふことを行おこなひしを記憶おもひたまへと言いひて痛いたく泣なけり
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4 かくてイザヤ未いまだ中なかの邑まちを出いではなれざる間うちにヱホバの言ことばこれに臨のぞみて言いふ 5 汝なんぢ還󠄃かへりてわが民たみの君きみヒゼキヤに吿つげよ汝なんぢの父󠄃ちゝダビデの神かみヱホバかく言いふ我われ汝なんぢの祈禱いのりを聽きけり汝なんぢの淚なみだを看みたり然されば汝なんぢを愈󠄃いやすべし第三日みつかめには汝なんぢヱホバの家いへに入いらん 6 我われ汝なんぢの齡よはひを十五年ねん增ますべし我われ汝なんぢとこの邑まちとをアッスリヤの王わうの手てより救すくひ我わが名なのため又󠄂またわが僕しもべダビデのためにこの邑まちを守まもらんと 7 是こゝに於おいてイザヤ乾ほし無花果いちじくの團塊かたまり一箇ひとつを持もちきたれと言いひければすなはち之これを持もちきたりてその腫物はれものに貼つけたればヒゼキヤ愈󠄃いえぬ

8 ヒゼキヤ、イザヤに言いひけるはヱホバが我われを愈󠄃いやしたまふ事ことと第三日みつかめに我わがヱホバの家いへにのぼりゆく事こととにつきては何なにの徴しるしあるや 9 イザヤ言いひけるはヱホバがその言いひしところを爲なしたまはん事ことにつきては汝なんぢヱホバよりこの徴しるしを得えん日ひ影かげ進󠄃すゝめること十度どなり若もし日ひ影かげ十度ど退󠄃しりぞかば如何いかん 10 ヒゼキヤ答こたへけるは日ひ影かげの十度ど進󠄃すゝむは易やすき事ことなり然しかせざれ日ひ影かげを十度どしりぞかしめよ 11 是こゝにおいて預言者よげんしやイザヤ、ヱホバに龥よばはりければアハスの日晷󠄂ひどけいの上うへに進󠄃すゝみし日ひ影かげを十度どしりぞかしめたまへり

12 その頃ころバラダンの子こなるバビロンの王わうメロダクバラダン書ふみおよび禮物おくりものをヒゼキヤにおくれり是こはヒゼキヤの疾やみをるを聞きゝたればなり 13 ヒゼキヤこれがために喜よろこびその寳物たからものの庫くら金銀きんぎん香物かうもつ貴たふとき膏あぶらおよび武器庫ぶきぐらならびにその府庫くらにあるところの一切すべての物ものを之これに見みせたりその家いへにある物ものもその國くにの中うちにある物ものも何なに一箇ひとつとしてヒゼキヤが彼等かれらに見みせざる者ものはなかりき 14 茲こゝに預言者よげんしやイザヤ、ヒゼキヤ王わうのもとに來きたりてこれに言いひけるは夫かの人々ひと〴〵は何なにを言いひしや何處いづくより來きたりしやヒゼキヤ言いひけるは彼等かれらは遠󠄄とほき國くにより即すなはちバビロンより來きたれり〘554㌻〙 15 イザヤ言いふ彼等かれらは汝なんぢの家いへにて何なにを見みしやヒゼキヤ答こたへて云いふ吾わが家いへにある物ものは皆みなかれら之これを見みたり我われ庫くらの中うちには我わがかれに見みせざる者ものなきなり
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16 イザヤすなはちヒゼキヤに言いひけるは汝なんぢヱホバの言ことばを聞きけ 17 ヱホバ言いひたまふ視みよ日ひいたる凡すべて汝なんぢの家いへにある物ものおよび汝なんぢの先祖せんぞ等らが今日こんにちまでに積蓄つみたくはへたる物ものはバビロンに携もちゆかれん遺󠄃のこる者ものなかるべし 18 汝なんぢの身みより出いづる汝なんぢの生うまんところの子等こらの中うちを彼等かれら携たづさへ去さらん其それ等らはバビロンの王わうの殿みやにおいて官吏󠄄くわんりとなるべし 19 ヒゼキヤ、イザヤに言いふ汝なんぢが語かたれるヱホバの言ことばは善よし又󠄂またいふ若もしわが世よにある間あひだに大平󠄃おだやかと眞󠄃實まこととあらば善よきにあらずや 20 ヒゼキヤのその餘ほかの行爲わざその能ちからおよびその池塘ためいけと水すゐ道󠄃だうを作つくりて水みづを邑まちにひきし事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 21 ヒゼキヤその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてその子こマナセこれに代かはりて王わうとなれり

第21章

1 マナセ十二歳さいにして王わうとなり五十五年ねんの間あひだヱルサレムにて世よを治をさめたりその母はゝの名なはヘフジバといふ 2 マナセはヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなしヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへより逐󠄃おひはらひたまひし國々くに〴〵の人ひとがなすところの憎にくむべき事ことに傚ならへり 3 彼かれはその父󠄃ちゝヒゼキヤが毀こぼちたる崇邱たかきところを改あらため築きづき又󠄂またイスラエルの王わうアハブのなせしごとくバアルのために祭壇さいだんを築きづきアシラ像󠄃ざうを作つくり天てんの衆群しうぐんを拜をがみてこれに事つかへ 4 またヱホバの家いへの中うちに數󠄄すう箇この祭壇さいだんを築きづけり是これはヱホバがこれをさして我われわが名なをヱルサレムにおかんと言いひたまひし家いへなり 5 彼かれヱホバの家いへの二ふたつの庭󠄄にはに祭壇さいだんを築きづき 6 またその子こに火ひの中なかを通󠄃とほらしめ卜占うらなひをなし魔󠄃術󠄃まじゆつをおこなひ口寄者くちよせと卜筮師うらなひしを取とりもちひヱホバの目めの前󠄃まへに衆多おほくの惡あくを爲なしてその震怒いかりを惹ひきおこせり 7 彼かれはその作つくりしアシラの銅どう像󠄃ざうを殿みやにたてたりヱホバこの殿みやにつきてダビデとその子こソロモンに言いひたまひしことあり云いはく我われこの家いへと我わがイスラエルの諸すべての支󠄂派󠄄わかれの中うちより選󠄄えらみたるヱルサレムとに吾わが名なを永久とこしなへにおかん
 721㌻ 
8 彼等かれらもし我わが凡すべてこれに命めいぜし事ことわが僕しもべモーセがこれに命めいぜし一切すべての律法おきてを謹つゝしみて行おこなはば我われこれが足あしをしてわがその先祖せんぞ等らに與あたへし地ちより重かさねてさまよひ出いづることなからしむべしと 9 然しかるに彼等かれらは聽きくことをせざりきマナセが人々ひと〴〵を誘いざなひて惡あくをなせしことはヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵の前󠄃まへに滅ほろぼしたまひし國々くに〴〵の人ひとよりも甚はなはだしかりき〘555㌻〙

10 是こゝにおいてヱホバその僕しもべなる預言者よげんしや等たちをもて語かたりて言いひ給たまはく 11 ユダの王わうマナセこれらの憎にくむべき事ことを行おこなひその前󠄃さきにありしアモリ人びとの凡すべて爲なせしところにも踰こえたる惡あくをなし亦またユダをしてその偶像󠄃ぐうざうをもて罪つみを犯をかさせたれば 12 イスラエルの神かみヱホバかく言いふ視みよ我われヱルサレムとユダに災害󠄅わざはひをくだす是これを聞きく者ものはその耳みゝふたつながら鳴ならん 13 我われサマリヤを量はかりし繩󠄂なはとアハブの家いへにもちひし準繩󠄂さげふりをヱルサレムにほどこし人ひとが皿さらを拭ぬぐひこれを拭ぬぐひて反覆󠄄ふせるがごとくにヱルサレムを拭ぬぐひさらん 14 我われわが產業さんげふの民たみの殘餘のこりを棄すてこれをその敵てきの手てに付わたさん彼等かれらはその諸もろ〳〵の敵てきの擄掠かすめにあひ掠奪ぶんどりにあふべし 15 是こは彼等かれらその先祖せんぞ等らがエジプトより出いでし日ひより今日こんにちにいたるまで吾わが目めの前󠄃まへに惡あくをおこなひて我われを怒いからするが故ゆゑなり

16 マナセはヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをおこなひてユダに罪つみを犯をかさせたる上うへにまた無辜者つみなきものの血ちを多おほく流ながしてヱルサレムのこの極はてよりかの極はてにまで盈みたせり 17 マナセのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことおよびその犯をかしたる罪つみはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらすや 18 マナセその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりてその家いへの園そのすなはちウザの園そのに葬はうむられその子こアモンこれに代かはりて王わうとなれり

19 アモンは王わうとなれる時とき二十二歳さいにしてヱルサレムにおいて二年ねん世よを治をさめたりその母はゝはヨテバのハルツの女むすめにしてその名なをメシユレメテと云いふ
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20 アモンはその父󠄃ちゝマナセのなせしごとくヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせり 21 すなはち彼かれは凡すべてその父󠄃ちゝのあゆみし道󠄃みちにあゆみその父󠄃ちゝの事つかへし偶像󠄃ぐうざうに事つかへてこれを拜をがみ 22 その先祖せんぞ等たちの神かみヱホバを棄すてヱホバの道󠄃みちにあゆまざりき 23 茲こゝにアモンの臣僕しもべ等ら黨たうをむすびて王わうをその家いへに弑しいしたりしが 24 國くにの民たみそのアモン王わうに敵てきして黨たうをむすびし者ものをことごとく擊うちころせり而しかして國くにの民たみアモンの子こヨシアを王わうとなしてそれに代かはらしむ 25 アモンのなしたるその餘ほかの行爲わざはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 26 アモンはウザの園そのにてその墓はかに葬はうむられその子こヨシアこれに代かはりて王わうとなれり

第22章

1 ヨシアは八歳さいにして王わうとなりヱルサレムにおいて三十一年ねん世よを治をさめたり其その母はゝはボヅカテのアダヤの女むすめにして名なをヱデダと曰いふ 2 ヨシアはヱホバの目めに適󠄄かなふ事ことをなしその父󠄃ちゝダビデの道󠄃みちにあゆみて右みぎにも左さにも轉まがらざりき〘556㌻〙

3 ヨシア王わうの十八年ねんに王わうメシユラムの子こアザリヤの子こなる書記しよき官くわんシヤパンをヱホバの家いへに遣󠄃つかはせり即すなはちこれに言いひけらく 4 汝なんぢ祭司さいしの長をさヒルキヤの許もとにのぼり行ゆきてヱホバの家いへにいりし銀ぎんすなはち門守かどもりが民たみよりあつめし者ものを彼かれに計算かぞへしめ 5 工事こうじを司つかさどるヱホバの家いへの監督かんとく者しやの手てにこれを付わたさしめ而しかしてまた彼かれらをしてヱホの家いへにありて工事こうじをなすところの者ものにこれを付わたさしめ殿みやの破壞やぶれを修理つくろはしめよ 6 即すなはち工匠たくみと建󠄄築者いへづくりと石工せきこうにこれを付わたさしめ又󠄂またこれをもて殿みやを修理つくろふ材木ざいもくと斫きり石いしを買かはしむべし 7 但たゞし彼かれらは誠󠄃實まめやかに事ことをなせば彼かれらの手てにわたすところの銀ぎんの計算けいさんをかれらとするには及およばざるなり

8 時ときに祭司さいしの長をさヒルキヤ書記しよき官くわんシヤパンに言いひけるは我われヱホバの家いへにおいて律法おきての書ふみを見みいだせりとヒルキヤすなはちその書ふみをシヤパンにわたしたれば彼かれこれを讀よめり
 723㌻ 
9 かくて書記しよき官くわんシヤパン王わうの許もとにいたり王わうに返󠄄かへり事ごとまうして言いふ僕しもべ等ら殿みやにありし金かねを打うちあけてこれを工事こうじを司つかさどるヱホバの家いへの監督かんとく者しやの手てに付わたせりと 10 書記しよき官くわんシヤパンまた王わうにつげて祭司さいしヒルキヤ我われに一書いつしよをわたせりと言いひシヤパン其それを王わうの前󠄃まへに讀よみけるに 11 王わうその律法おきての書ふみの言ことばを聞きくやその衣ころもを裂さけり 12 而しかして王わう祭司さいしヒルキヤとシヤパンの子こアヒカムとミカヤの子こアクボルと書記しよき官くわんシヤパンと王わうの內ない臣しんアサヤとに命めいじて言いふ 13 汝等なんぢら往󠄃ゆきてこの見み當あたりし書ふみの言ことばにつきて我われのため民たみのためユダ全󠄃國ぜんこくのためにヱホバに問とへ其そは我儕われらの先祖せんぞ等たちはこの書ふみの言ことばに聽きゝしたがひてその凡すべて我儕われらのために記しるされたるところを行おこなふことをせざりしに因よりてヱホバの我儕われらにむかひて怒いかりを發いだしたまふこと甚はなはだしかるべければなり

14 是こゝにおいて祭司さいしヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シヤパンおよびアサヤ等らシヤルムの妻つまなる女をんな預言者よげんしやホルダの許もとにいたれりシヤルムはハルハスの子こなるテクワの子こにして衣裳いすやうの室しつを守まもる者ものなり時ときにホルダはヱルサレムの下邑しもまちに住󠄃すみをる彼等かれらすなはちホルダに物もの語がたりせしかば 15 ホルダかれらに言いひけるはイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ汝等なんぢらを我われにつかはせる人ひとに吿つげよ 16 ヱホバかく言いふ我われユダの王わうが讀よみたるかの書ふみの一切すべての言ことばにしたがひて災害󠄅わざはひをこの處ところと此こゝにすめる民たみに降󠄄くださんとす 17 彼等かれらはわれを棄すてて他ほかの神かみに香かうを焚たきその手てに作つくれる諸もろ〳〵の物ものをもて我われを怒いからするなり是故このゆえに我われこの處ところにむかひて怒いかりの火ひを發はつす是これは滅きえざるべし 18 但たゞし汝等なんぢらをつかはして我われに問とはしむるユダの王わうには汝等なんぢらかく言いふべし汝なんぢが聞きける言ことばにつきてイスラエルの神かみヱホバかく言いひたまふ〘557㌻〙 19 汝なんぢはわが此處このところと此こゝにすめる民たみにむかひて是これは荒あれ地ちとなり呪詛のろひとならんと言いひしを聞きゝたる時ときに心こゝろ柔やはらかにしてヱホバの前󠄃まへに身みを卑ひくくし衣ころもを裂さきて吾わが前󠄃まへに泣なきたれば我われもまた聽きくことをなすなりヱホバこれを言いふ 20 然されば視みよ我われなんぢを汝なんぢの先祖せんぞ等たちに歸きせしめん汝なんぢは安全󠄃やすらかに墓はかに歸きすることをうべし汝なんぢはわが此處このところにくだす諸もろ〳〵の災害󠄅わざはひを目めに見みることあらじと彼等かれらすなはち王わうに返󠄄かへり事ごとまうしぬ
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第23章

1 是こゝにおいて王わう人ひとをつかはしてユダとヱルサレムの長老としよりをことごとく集あつめ 2 而しかして王わうヱホバの家いへにのぼれりユダの諸もろ〳〵の人々ひと〴〵ヱルサレムの一切すべての民たみおよび祭司さいし預言者よげんしやならびに大小だいせうの民たみみな之これにしたがふ王わうすなはちヱホバの家いへに見みあたりし契󠄅約けいやくの書ふみの言ことばをことごとくかれらの耳みゝに讀よみきかせ 3 而しかして王わう高座かうざの上うへに立たちてヱホバの前󠄃まへに契󠄅約けいやくをなしヱホバにしたがひて步あゆみ心こゝろをつくし精神せいしんをつくしてその誡命いましめと律法おきてと法度のりを守まもり此この書ふみにしるされたる此この契󠄅約けいやくの言ことばをおこなはんと言いへり民たみみなその契󠄅約けいやくに加くははりぬ

4 かくして王わう祭司さいしの長をさヒルキヤとその下したにたつところの祭司さいし等たちおよび門守かどもり等らに命めいじてヱホバの家いへよりしてバアルとアシラと天てんの衆群しうぐんとの爲ために作つくりたる諸もろ〳〵の器うつはと執とりいださしめヱルサレムの外そとにてキデロンの野のにこれを燒やきその灰󠄃はひをベテルに持もちゆかしめ 5 又󠄂またユダの王等わうたちが立たててユダの邑々まち〳〵とヱルサレムの四圍󠄃まはりなる崇邱たかきところに香かうをたかしめたる祭司さいし等らを廢はいしまたバアルと日月󠄃じつげつ星せい宿しゆくと天てんの衆群しうぐんとに香かうを焚たく者等ものどもをも廢はいせり 6 彼かれまたヱホバの家いへよりアシラ像󠄃ざうをとりいだしヱルサレムの外そとに持もちゆきてキデロン川がはにいたりキデロン川がはにおいてこれを燒やきこれを打うち碎くだきて粉󠄃ことなしその粉󠄃こを民たみの墓はかに散ちらし 7 またヱホバの家いへの旁かたはらにある男娼なんしやうの家いへを毀こぼてり其處そこはまた婦󠄃人をんながアシラのために天てん幕まくを織おるところなりき 8 彼かれまたユダの邑々まち〳〵より祭司さいしをことごとく召めしよせまた祭司さいしが香かうをたきたる崇邱たかきところをばゲバよりベエルシバまでこれを汚けがしまた門もんにある崇邱たかきところを毀こぼてり是等これらの崇邱たかきところは一ひとつは邑まちの宰つかさヨシユアの門もんの入いり口くちにあり一ひとつは邑まちの門もんにありて之これに入いる人ひとの左ひだりにあたる 9 崇邱たかきところの祭司さいし等たちはエルサレムにおいてヱホバの壇だんにのぼることをせざりき但たゞし彼等かれらはその兄弟きやうだいの中うちにありて無酵たねいれぬパンを食󠄃くらへり
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10 王わうまた人ひとがその子息むすこ息女むすめに火ひの中なかを通󠄃とほらしめて之これをモロクにささぐることなからんためにベンヒンノムの谷たににあるトペテを汚けがし〘558㌻〙 11 またユダの王等わうたちが日ひのためにささげてヱホバの家いへの門もんにおける馬むまをうつせりこの馬むまはパルリムにある侍從じじうナタンメレクの室しつにをりしなり彼かれまた日ひの車くるまを皆みな火ひに焚やけり 12 またユダの王等わうたちがアハズの桜らうの屋背やねにつくりたる祭壇さいだんとマナセがヱホバの家いへの兩ふたつの庭󠄄にはにつくりたる祭壇さいだんとは王わうこれを毀こぼちこれを其處そこより取とりくづしてその碎片くだけをキデロン川がはになげ捨󠄃すてたり 13 またイスラエルの王わうソロモンが昔むかしシドン人びとの憎にくむべき者ものなるアシタロテとモアブ人びとの憎にくむべき者ものなるケモシとアンモンの子孫ひと〴〵の憎にくむべき者ものなるモロクのためにヱルサレムの前󠄃まへにおいて殲滅ほろぼし山やまの右みぎに築きづきたる崇邱たかきところも王わうこれを汚けがし 14 また諸もろ〳〵の像󠄃ざうをうち碎くだきアシラ像󠄃ざうをきりたふし人ひとの骨ほねをもてその處々ところどころに充みたせり

15 またベテルにある壇だんかのイスラエルに罪つみを犯をかさせたるネバテの子こヤラベアムが造󠄃つくりし崇邱たかきところすなはちその壇だんもその崇邱たかきところも彼かれこれを毀こぼちその崇邱たかきところを焚やきてこれを粉󠄃こにうち碎くだきかつアシラ像󠄃ざうを焚やけり 16 茲こゝにヨシア身みをめぐらして山やまに墓はかのあるを見み人ひとをやりてその墓はかより骨ほねをとりきたらしめ之これをその壇だんの上うへに焚やきてそれを汚けがせり即すなはち神かみの人ひとが宣のべたるヱホバの言ことばのごとし昔むかし神かみの人ひとこの言語ことばを宣のべしことありしなり 17 ヨシアまた其處そこに見みゆる碑ひは何なになるやと言いひしに邑まちの人々ひと〴〵これに吿つげて其それは汝なんぢがベテルの壇だんにむかひて爲なせるこの事等ことどもをユダより來きたりて宣のべたる神かみの人ひとの墓はかなりと言いひければ 18 すなはち其それには手てをつくるなかれ誰たれもその骨ほねを移うつすなかれと言いへり是こゝをもてその骨ほねとサマリヤより來きたりし預言者よげんしやの骨ほねには手てをつけざりき 19 またイスラエルの王等わうたちがサマリヤの邑々まち〳〵に造󠄃つくりてヱホバを怒いからせし崇邱たかきところの家いへも皆みなヨシアこれを取とりのぞき凡すべてそのベテルになせしごとくに之これに事ことをなせり 20 彼かれまた其處そこにある崇邱たかきところの祭司さいし等らを壇だんの上うへにころし人ひとの骨ほねを壇だんの上うへに焚やきてヱルサレムに歸かへりぬ
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21 而しかして王わう一切すべての民たみに命めいじて言いふ汝なんぢらこの契󠄅約けいやくの書ふみに記しるされたるごとくに汝なんぢらの神かみヱホバに逾越すぎこしの節󠄄いはひを執とり行おこなふべしと 22 士師さばきつかさのイスラエルを治をさめし日ひより已來このかたもまたユダの王等わうたちとイスラエルの王等わうたちの代よにも斯かくのごとき逾越すぎこしの節󠄄いはひを守まもりしことはなかりしが 23 ヨシア王わうの十八年ねんにいたりてヱルサレムにて斯この逾越節󠄄すぎこしのいはひをヱホバに守まもりしなり

24 ヨシアまた祭司さいしヒルキヤがヱホバの家いへにて見みいだせし書ふみに記しるされたる律法おきての言ことばを世よにおこなはんために口寄者くちよせと卜筮師うらなひしとテラピムと偶像󠄃ぐうざうおよびユダの地ちとヱルサレムに見みゆる諸もろ〳〵の憎にくむべき者ものを取とりのぞけり〘559㌻〙 25 ヨシアの如ごとくに心こゝろを盡つくし精神せいしんを盡つくし力ちからを盡つくしてモーセの法おきてに全󠄃まつたくしたがひてヱホバに歸向ききやうせし王わうはヨシアの先さきにはあらざりきまた彼かれの後のちにも彼かれのごとき者ものはなし

26 斯有󠄃かかりしかどもヱホバはユダにむかひて怒いかりを發はつしたるその大おほいいなる燃もえたつ震怒いかりを息やむることをしたまはざりき是こはマナセ諸もろ〳〵の憤いきどほらしき事ことをもてヱホバを怒いからせしによるなり 27 ヱホバすなはち言いひたまはく我われイスラエルを移うつせし如ごとくにユダをもわが目めの前󠄃まへより拂はらひ移うつし我わが選󠄄えらみし此このヱルサレムの邑まちと吾わが名なをそこに置おかんといひしこの殿みやとを棄すつべしと

28 ヨシアのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 29 ヨシアの代よにエジプトの王わうパロネコ、アッスリヤの王わうと戰たゝかはんとてユフラテ河がはをさして上のぼり來きしがヨシア王わうこれを防ふせがんとて進󠄃すゝみゆきければ彼かれこれに出であひてメギドンにこれを殺ころせり 30 その僕しもべ等らすなはちこれが死骸なきがらを車くるまにのせてメギドンよりヱルサレムに持もちゆきこれをその墓はかに葬はうむれり國くにの民たみここに於おいてヨシアの子こヱホアハズを取とりこれに膏あぶらをそそぎて王わうとなしてその父󠄃ちゝにかはらしめたり
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31 ヱホアハズは王わうとなれる時とき二十三歳さいにしてヱルサレムにて三月󠄃みつき世よを治をさめたりその母はゝはリブナのエレミヤの女むすめにして名なをハムタルと云いふ 32 ヱホアハズはその先祖せんぞ等たちが凡すべてなしたるごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせしが 33 パロネコ彼かれをハマテの地ちのリブラに繋つなぎおきてヱルサレムにおいて王わうとなりをることを得えざらしめ且かつ銀ぎん百ひやくタラント金きん一タラントの罰ばつ金きんを國くにに課くわしたり 34 而しかしてパロネコはヨシアの子こエリアキムをしてその父󠄃ちゝヨシアにかはりて王わうとならしめ彼かれの名なをヱホヤキムと改あらためヱホアハズを曳ひきて去さりぬヱホアハズはエジプトにいたりて其處そこに死しねり 35 ヱホヤキムは金銀きんぎんをパロにおくれり即すなはち彼かれ國くにに課くわしてパロの命めいのままに金かねを出いださしめ國くにの民たみ各人おの〳〵に割󠄅わりつけて金銀きんぎんを征しぼり取とりてこれをパロネコにおくれり

36 ヱホヤキムは二十五歳さいにして王わうとなりヱルサレムにおいて十一年ねん世よを治をさめたりその母はゝはルマのペダヤの女むすめにして名なをゼブタと云いふ 37 ヱホヤキムはその先祖せんぞ等たちが凡すべてなしたるごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせり〘560㌻〙

第24章

1 ヱホヤキムの代よにバビロンの王わうネブカデネザル上のぼり來きたりければヱホヤキムこれに臣しん服󠄃ぷくして三年ねんをへたりしが遂󠄅つひにひるがへりて之これに叛󠄃そむけり 2 ヱホバ、カルデヤの軍兵ぐんぴやうスリアの軍兵ぐんぴやうモアブの軍兵ぐんぴやうアンモンの軍兵ぐんぴやうをしてヱホヤキムの所󠄃ところに攻せめきたらしめたまへり即すなはちユダを滅ほろぼさんがためにこれをユダに遣󠄃つかはしたまふヱホバがその僕しもべなる預言者よげんしや等らによりて言いひたまひし言語ことばのごとし 3 この事ことは全󠄃まつたくヱホバの命めいによりてユダにのぞみし者ものにてユダをヱホバの目めの前󠄃まへより拂はらひ除のぞかんがためなりき是これはマナセがその凡すべてなす所󠄃ところにおいて罪つみを犯をかしたるにより
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4 また無辜つみなき人ひとの血ちをながし無辜つみなき人ひとの血ちをヱルサレムに充みたしたるによりてなりヱホバはその罪つみを赦ゆるすことをなしたまはざりき 5 ヱホヤキムのその餘ほかの行爲わざとその凡すべて爲なしたる事ことはユダの王わうの歷代れきだい志しの書しよにしるさるるにあらずや 6 ヱホヤキムその先祖せんぞ等たちとともに寢ねむりその子こヱコニアこれに代かはりて王わうとなれり 7 却説さてまたエジプトの王わうは重かさねてその國くにより出いできたらざりき其そはバビロンの王わうエジプトの河かはよりユフラテ河がはまで凡すべてエジプトの王わうに屬ぞくする者ものを悉こと〴〵く取とりたればなり

8 ヱコニアは王わうとなれる時とき十八歳さいにしてヱルサレムにて三月󠄃みつき世よを治をさめたりその母はゝはヱルサレムのエルナタンの女むすめにして名なをネホシタと云いふ 9 ヱコニアはその父󠄃ちゝの凡すべてなしたるごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせり

10 その頃ころバビロンの王わうネブカデネザルの臣しんヱルサレムに攻せめのぼりて邑まちを圍󠄃かこめり 11 即すなはちバビロンの王わうネブカデネザル邑まちに攻せめ來きたりてその臣しんにこれを攻せめ惱なやまさしめたれば 12 ユダの王わうヱコニアその母はゝその臣しんその牧伯等つかさたちおよびその侍從じじう等らとともに出いでてバビロンの王わうに降󠄄くだれりバビロンの王わうすなはち彼かれを執とらふ是これはその代よの八年ねんにあたれり 13 而しかして彼かれヱホバの家いへの諸もろ〳〵の寳物たからものおよび王わうの家いへの寳物たからものを其處そこより携たづさへ去さりイスラルの王わうソロモンがヱホバの宮みやに造󠄃つくりたる諸もろ〳〵の金きんの器うつはを切きりはがせりヱホバの言いひたまひしごとし 14 彼かれまたヱルサレムの一切すべての民たみおよび一切すべての牧伯等つかさたちと一切すべての大おほいなる能力ちからある者ものならびに工匠たくみと鍛冶かぢとを一萬人まんにん擄とらへゆけり遺󠄃のこれる者ものは國くにの民たみの賤いやしき者もののみなりき 15 彼かれすなはちヱコニアをバビロンに擄とらへゆきまた王わうの母はゝ王わうの妻つま等たちおよび侍從じじうと國くにの中うちの能力ちからある者ものをもエルサレムよりバビロンに擄とらへうつせり 16 凡すべて能力ちからある者もの七千せん人にん工匠たくみと鍛冶かぢ一千せん人にんならびに强壯つよくして善よく戰たゝかふ者もの是等これらをバビロンの王わう擄とらへてバビロンにうつせり〘561㌻〙
 729㌻ 
17 而しかしてバビロンの王わうまたヱコニアの父󠄃ちゝの兄弟きやうだいマツタニヤを王わうとなしてヱコニアに代かへ其それが名なをゼデキヤと改あらためたり

18 ゼデキヤは二十一歳さいにして王わうとなりヱルサレムにて十一年ねん世よを治をさめたりその母はゝはリブナのヱレミヤの女むすめにして名なをハムタルと曰いふ 19 ゼデキヤはエホヤキムが凡すべてなしたるごとくにヱホバの目めの前󠄃まへに惡あくをなせり 20 ヱルサレムとユダに斯かゝる事ことありしはヱホバの震怒いかりによる者ものにしてヱホバつひにその人々ひと〴〵を自己おのれの前󠄃まへよりはらひ棄すてたまへり偖さてまたゼデキヤはバビロンの王わうに叛󠄃そむけり

第25章

1 茲こゝにゼデキヤの代よの九年ねんの十月󠄃ぐわつ十日とをかにバビロンの王わうネブカデネザルその諸しよ軍勢ぐんぜいを率󠄃ひきゐてヱルサレムに攻せめきたりこれにむかひて陣ぢんを張はり周󠄃圍󠄃まはりに雲梯うんていを建󠄄たててこれを攻せめたり 2 かくこの邑まち攻せめかこまれてゼデキヤ王わうの十一年ねんにまでおよびしが 3 その四月󠄃ぐわつ九日ここのかにいたりて城󠄃邑まちの中うち饑󠄃うゆること甚はなはだしくなりその地ちの民たみ食󠄃物くひものを得えざりき 4 是こゝをもて城󠄃邑まちつひに打うち破やぶられければ兵へい卒そつはみな王わうの園そのの邊󠄎ほとりなる二箇ふたつの石垣いしがきの間あひだの途󠄃みちより夜よの中うちに逃󠄄にげいで皆みな平󠄃地ひらちの途󠄃みちにしたがひておちゆけり時ときにカルデア人びとは城󠄃邑まちを圍󠄃かこみをる 5 茲こゝにカルデア人びとの軍勢ぐんぜい王わうを追󠄃おひゆきヱリコの平󠄃地ひらちにてこれに追󠄃おひつきけるにその軍勢ぐんぜいみな彼かれを離はなれて散ちりしかば 6 カルデア人びと王わうを執とらへてこれをリブラにをるバビロンの王わうの許もとに曳ひきゆきてその罪つみをさだめ 7 ゼデキヤの子等こたちをゼデキヤの目めの前󠄃まへに殺ころしゼデキヤの目めを抉つぶしこれを鋼索くさりにつなぎてバビロンにたづさへゆけり

8 バビロンの王わうネブカデネザルの代よの十九年ねんの五月󠄃ぐわつ七日なぬかにバビロンの王わうの臣しん侍衛󠄅じゑいの長かしらネブザラダン、ヱルサレムにきたり
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9 ヱホバの室いへと王わうの室いへを燒やき火ひをもてヱルサレムのすべての室いへと一切すべての大おほいなる室いへを燒やけり 10 また侍衛󠄅じゑいの長かしらとともにありしカルデア人びとの軍勢ぐんぜいヱルサレムの四周󠄃まはりの石垣いしがきを毀こぼてり 11 侍衛󠄅じゑいの長かしらネブザラダンすなはち邑まちに遺󠄃のこされし殘餘のこりの民たみおよびバビロンの王わうに降󠄄くだりし降󠄄かう人にんと群衆ぐんしうの殘餘のこれる者ものを擄とらへうつせり 12 但たゞし侍衛󠄅じゑいの長かしらその地ちの或ある貧󠄃者まづしきものをのこして葡萄ぶだうをつくる者ものとなし農夫のうふとなせり

13 カルデア人びとまたヱホバの家いへの銅あかがねの柱󠄃はしらと洗盤たらひの臺だいと銅あかがねの海うみをくだきてその銅あかがねをバビロンに運󠄃はこび 14 また鍋なべと火鏟じふのうと燈剪しんとりと匙さじおよび凡すべて役事つとめに用もちふる銅あかがねの器うつはを取とれり 15 侍衛󠄅じゑいの長かしらまた火盤ひざらと鉢はちなど金銀きんぎんにて作つくれる物ものを取とり〘562㌻〙 16 またソロモンがヱホバの室いへに造󠄃つくりしところの二ふたつの柱󠄃はしらと一ひとつの海うみと臺だいとを取とれり此このもろもろの銅あかがねの重おもさは量はかるべからず 17 この柱󠄃はしらは高たかさ十八キユビトにしてその上うへに銅あかがねの頂かしらありその頂かしらの高たかさは三キユビトその頂かしらの四周󠄃まはりに網󠄄子あみと石榴ざくろとありて皆みな銅あかがねなり他ほかの柱󠄃はしらとその網󠄄子あみもこれに同おなじ

18 侍衛󠄅じゑいの長かしらは祭司さいしの長をさセラヤと第だい二の祭司さいしゼパニヤと三人にんの門守かどもりを執とらへ 19 また兵へい卒そつを督つかさどる一人ひとりの寺人じじんと王わうの前󠄃まへにはべる者ものの中うち邑まちにて遇󠄃あひしところの者もの五人にんとその地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長かしらなる書記しよき官くわんと城󠄃邑まちの中うちにて遇󠄃あひしところの六十人にんの者ものを邑まちより擄とらへされり 20 侍衛󠄅じゑいの長かしらネブザラダンこれらを執とらへてリブラにをるバビロンの王わうの許もとにいたりければ 21 バビロンの王わうハマテの地ちのリブラにてこれらを擊うち殺ころせりかくユダはおのれの地ちよりとらへ移うつされたり

22 かくてバビロンの王わうネブカデネザルは自己おのれが遺󠄃のこしてユダの地ちに止とゞまらしめし民たみの上うへにシヤパンの子こなるアヒカムの子こゲダリヤをたててこれをその督者つかさとなせり 23 茲こゝに軍勢ぐんぜいの長かしら等たちおよびこれに屬ぞくする人々ひと〴〵みなバビロンの王わうがゲダリヤを督者つかさとなせしことを聞きゝしかばすなはちネタニヤの子こイシマエル、カレヤの子こヨナハン、ネトバ人びとタンホメテの子こセラヤおよび或あるマアカ人びとの子こヤザニヤならびに彼かれらに屬ぞくする人々ひと〴〵ミヅパにきたりてゲダリヤの許もとにいたれり
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24 ゲダリヤすなはち彼等かれらとかれらに屬ぞくする人々ひと〴〵に誓ちかひてこれに言いひけるは汝等なんぢらカルデア人びとの僕しもべとなることを恐おそるるなかれこの地ちに住󠄃すみてバビロンの王わうにつかへなば汝等なんぢら幸福さいはひならんと 25 然しかるに七月󠄃ぐわつに王わうの血統ちすぢなるエリシヤマの子こネタニヤの子こなるイシマエル十人にんの者ものとともに來きたりてゲダリヤを擊うちころし又󠄂また彼かれとともにミヅパにをりしユダヤ人びととカルデア人びとを殺ころせり 26 是こゝにおいて大小だいせうの民たみおよび軍勢ぐんぜいの長かしら等たちみな起󠄃たちてエジプトにおもむけり是こはカルデヤ人びとをおそれたればなり

27 ユダの王わうヱホヤキムがとらへ移うつれたる後のち三十七年ねんの十二月󠄃ぐわつ二十七日にちバビロンの王わうエビルメロダクその代よの一年ねんにユダの王わうヱホヤキムを獄ひとやより出いだしてその首かうべをあげしめ 28 善言よきことばをもて彼かれをなぐさめその位くらゐをバビロンにともに居をるところの王等わうたちの位くらゐよりも高たかくし 29 その獄ひとやの衣服󠄃ころもを易かへしめたりヱホヤキムは一生しやうのあひだつねに王わうの前󠄃まへに食󠄃しよくをなせり 30 かれ一生しやうのあひだたえず日々ひびの分󠄃ぶんを王わうよりたまはりてその食󠄃物くひものとなせり〘563㌻〙
 732㌻